『 KAIKETSU!赤頭巾侍 』 鯨 統一郎

◆ KAIKETSU!赤頭巾侍  鯨 統一郎 (徳間文庫) \620  評価…★★★☆☆ <作品紹介> 正義の味方・赤頭巾侍。悪人どもをばっさばっさと斬り捨てる。その正体は、寺子屋の師匠にして津無時円風流の遣い手、久留里一太郎である。一太郎、いささか直情怪行の気味あり。悪漢を退治した後にアリバイがあったと聞くと、苦しまぎれの“こじつけ”推理を展開する。しかも、毎回。早トチリの剣豪の活躍を描く、異色のユーモア捕物帳。 ( 文庫裏表紙紹介文 )
これはちょっと微妙でしたねぇ。題名や紹介文から例のハチャメチャ( 死語 )鯨節 ( と書くと鰹節の類みたいだな…。でも、「 鯨流 」でも変だし^^; ) を期待してたのですが、意外とちゃんとしてるんですよ。  「 苦しまぎれの “ こじつけ ” 推理 」 なんて書かれてるけど、謎解きも不自然でも的外れでもないです。 まぁ、確かに何の裏付けもないまま成敗しちゃってからの後付け推理ではあるんですが、最終的には真実だったということがわかる( 被疑者死亡のため自白無しの状況&物的証拠のみですが…)になってるし。時代小説としての部分もちゃんとしてて、なかなか面白いです。 ※以下ネタバレ有り※ 鯨氏 ( これも何か妙な呼称だなぁf^_^; 中村うさぎと並んで呼び方に困る名前ですね… ) がよく使う繰り返しギャグの手法や、お決まりの台詞にお決まりの展開も捕物帖タイプの時代小説にはよく馴染むんですよ。このテの話はむしろワンパターンを尊ぶ傾向にありますからね^^; ラストの一太郎の仇討ち話の始末のつけ方もなかなか良いです。法源は絶対裏があるとは思ってたけどこう来るのかと。でも、こういうことだと作中で「 男女とは言え親子だから、和尚とおゆうも顔が似てる 」って話があった時に、もう少しリアクションのしようがあるよなとか、他少々思うところはありますが。 そんなわけで、そこそこ面白くは読めるんだけど、どうも全体的に惜しい感じで、読んだ後に何となくがっかり感があるんですよね。どうせならもっとちゃんと時代小説で書いて欲しかったような気もするし、逆にもっと題名にふさわしく徹底的にふざけて書いてほしかった気もする。  本作中で最もふざけてるのは定廻り同心・小田の、その名前にちなんだオフコースの歌詞による台詞や独白だと思うのですが ( そのいずれもが一太郎への衆道的思いによるものだということも含めて ) 、これも意外と気にならないんですよねぇ。 最初に出てきた時は、「 あーあ^^; 」 と思ったけど、歌詞が台詞にしてもそんなに不自然じゃないせいもあって、そのうち慣れちゃうんですよ。あと小田の地味でシャイな人柄故かしら(笑) それに、これ、オフコース知らない人には全然面白くないしねぇ。ふざけていることすら気付かない可能性大。 ( 1月読了分 )