『月光とアムネジア』 牧野 修

月光とアムネジア 牧野 修  (ハヤカワ文庫JA) ¥630  評価…★★★☆☆ <あらすじ> 漆他山はアガタ原中県警の優秀な刑事だったが<レーテ>に巻き込まれて、既に半年も入院生活を送っていた。<レーテ>とは、ある日突然、直径数キロから数十キロにわたって人間の脳に障害を与える<愚空間>という特殊な場が発生する現象のことだ。その障害の種類や度合いに個人差は多いが、ほとんどの者が記憶障害を持つようになる。 ある日、そんな他山のもとにかつての上司が訪れ、復職の話を始める。復職する部署はレーテ対策救護班特務部隊。<レーテ>経験者から構成される部署だ。そして、命じられた任務は<レーテ>に入り込んだ窯変の会の殺し屋・町田月光夜を捕らえることだった。月光夜は60年間誰にも姿を見られることなく、年齢も性別も不明の伝説の殺人者だった。 そして、他山を含めて構成された部隊は月光夜を追って<レーテ>に進入するが、そこで次々と奇怪な現象に遭遇することになる。月光夜の正体は一体…?
ここ数ヶ月、再読も含めて牧野修作品をかなり読んでるのですが、牧野氏はやはりSFがいいですね。ホラーも悪くはないんだけど私はそんなに推さない。ホラーの方がSFより難解な印象があるんだよね。それは読む際のこちらの心構えの問題なのかもしれないけど。あと彼のホラーは陰惨なイメージが強いなぁ。 で、今日読んだ本作は意外なくらいわかりやすくて面白かった。何しろ題名からしてある意味ネタ割ってるしね。ストーリー展開もかなり想定通りなんだけど、設定に魅力があるので面白く読めました。ただ、奇妙な設定を生かすためなのか舞台が地球ではないどこか(並行世界か?)みたいなんだけど、これは微妙な感じだなぁ。固有名詞から何からほとんど日本って感じなのに違うって言われてもって気がちょっとする。 まぁ、そんな感じで他の牧野作品に比べると軽い感じなんだけど、ラストも珍しく一応ハッピーエンドだし、なかなか良いお話ではないでしょうか。私には珍しく、マジメでいい人な主人公が結構好きだったので、彼が妻子の敵討ちを果たして、その後も一応幸せに暮らせるようなので何よりです^^ 今、はたと気付いたけど牧野作品をしきりに読んでる割には読書記録アップするのはこれが初めてだ(@_@;) SFはあらすじが書きづらいから大抵そこで詰まって投げちゃうんだよなぁ…(T_T)  そのうち頑張ってアップします。多分…。