『　ネクロダイバー―潜死能力者』牧野修

◆ ネクロダイバー―潜死能力者　牧野修 (角川ホラー文庫 ) ￥620 　評価…★★★☆☆ ＜あらすじ＞物部聖が目覚めると、そこは出口のない手術室だった。そこで出会ったひとりの男に、聖はネクロダイバーの存在を教えられる。人の死に潜り、暴走した人の想いを消去する唯一無二の存在。聖はネクロダイバーとして、次々と理不尽な死と対面し、苦悩しながらも死の記憶を消し去っていく。しかしそれを阻止する存在“死神”たちが聖の前に現れるのだった。（文庫裏表紙紹介文より）
※以下ネタバレ有り※ この本、実はずいぶん前に買ってたのに読むのを忘れてたんですよねー。最近始まったとあるドラマの題名を見て、「あれ？こんな題名の本を買ってたような…　」と思い出して本棚から見つけ出した次第です^^; 牧野修作品が結構好きな私としては本書の帯については色々不満があるのですが、まぁ、何も知らない人があの帯に惹かれて手にとったとしても間違いではないかなというような作品だから突っ込まないでおきます。よくできたエンタテイメントで、面白いけど後には何も残らない感じの作品です。読んで損もしないけど得もしない。ケータイ小説だったみたいだから仕方ないのかなとは思うけど、牧野作品読者としてはもう少し毒が欲しかったなぁ。いや、でも、お話はほんとに面白いですよ。人には必ず守護蟲というのがついていて、その守護する人物が死に近づくと蟲文というものを記して、その人の生を文字へと変換するという設定に加えて、普通の人にはわからないその蟲文を読み取ることが出来、人の死に自在に潜り込める能力＝潜死能力を持つネクロダイバーが存在し、極秘で国に保護されているという設定は実に魅力的です。ネクロダイバーが死世界に入るとその外見も変化するというのもマンガチックだけど面白い。それぞれのエピソードに描かれる事件の陰惨さは牧野修らしくていいしね。でも、やっぱり全体的にコドモ向けな感じはするけど。あと、個人的に納得できないところがひとつ。夜道で狙いをつけた見ず知らずの女性を、全く人間性を認めないようなやり方で３人がかりで輪姦した上に、不必要に貶めるような言動をして、その後、被害者の女性が実は結婚を目前に控えていたのに、その事件のせいで何もかも失い、ついには自殺したことなども知っていながら口を拭って平穏な生活を送り、しかも自分のしたことを全く反省してない連中のひとりについて、彼がいかに家族に愛情を注いでいたかということを描いて、あんなヤツでも家族には愛情を注いでいたし、家族にも愛されていた、復讐しても不幸の連鎖が起こるだけだというようなことを言うくだりがあるんですが、私はこれは絶対認めない。あんなことをしたやつに幸せになる権利なんてねぇよ。そもそも、あんなことをする人間のくせに人を愛したり愛されたりって有り得ねぇだろ。確かに妻子には罪はないかもしんないけど、そんな最低最悪の糞野郎だということに気付かず結婚してしまったという時点で、少なくとも妻には非があると思うね。まぁ、子供は確かにかわいそうだが、そんな最低野郎が父親だった（しかも、子供は女の子だしな）ということを知るよりはいいんじゃねぇの？って気もする。そもそも、全ての強姦犯は死刑か宮刑にすればいいと思うわ。何であんなに罪が軽いわけ？殺人と違って強姦にはやむにやまれぬ事情なんてないだろ？まぁ、冤罪には重々注意しないといけないけどね。ああ、それとウザキモ系オタク女子の白山菊理（「くくり」と読むんだそうだが、この名前も何だかなぁ… ）が私的には非常にウザかったです。あ、ウザキモなのはあくまでも中身で、見た目は悪くなくて妹系って感じなんですが、この場合はそれもウザさを助長しますな。そういや、『病の世紀』にも似たタイプ（小森さん）が出てたな。まぁ、あれはまだ必然性があったけど。牧野氏がこういうタイプが好きなのか読者に受けるのか両方なのか知らないけど、私はダメですねー。オタクに限らずウザい人や自己陶酔型の人は苦手(-"-;)