『ファナティック』 (2006・米)

 ファナティック [DVD] 

◆ ファナティック [DVD] (2006年・アメリカ)


 監督:マーク・アトキンス
 出演:レベッカ・コーチャン、スコット・ネリー、アリシア・クライン他

 評価…★★★☆☆

<作品紹介>
10年前のハロウィンの日、少年だったクリスは、家に押し入ってきた暴漢たちに母親がレイプされた上に銃で頭を吹っ飛ばされるのを目撃してしまい、自身もその際に起こった事故で大火傷を負ってしまう。 事件後、父親は自殺し、心身を病んだクリスは病院生活を送ることになる。
それから10年後のハロウィンの日、クリスの入院する精神病院の看護師が悪戯心からマスクを被ってクリスにふざけかかる。しかし、そのマスクは10年前にに家に押し入った暴漢がつけていたものと同じだった。触れてはいけない傷跡に触れられてしまったクリスは狂気が爆発し、その看護師を殺して病院を脱走する。
その精神病院の近くにある空き家では、若者達がハロウィンパーティを楽しんでいた。そのパーティのコンセプトは仮装パーティで、ホストの青年はみんなを驚かそうと更なる企画を用意していた。それはパーティに殺人犯が紛れ込むこと。ところが、その被害者役の青年が途中でクリスと入れ替わっていたことから悲劇が始まる。





うーん、最初の方はかなり良かったんですよね。久々に正統派のスプラッタホラーだぁ♪ とちょっとわくわくしちゃったくらい。殺人鬼を殺人鬼たらしめた物語も一応きっちり描かれていて、その内容の是非はともかく( 通常のそれに比べると余りにかわいそうなんです(;_;) 冒頭のナレーションに実話ってあったけどほんとかなぁ? )好感が持てる。

でも、半ば過ぎくらい( パーティーに乱入し人質をとって出て行った正体不明の男がヤラセだったって発覚した辺りか? )から急激につまんなくなるのね。
その理由は何だろう…、んー、まず殺人鬼と取り違えられてるトッドのことについて誰も言及しない( 物凄く様子がおかしいのに! )のはともかく、彼と行動を共にしてたはずの彼女が全く姿を現さないことについて誰も頓着してないのがおかしい。で、次にヒロイン的な役割の女のコに全く魅力がない。外見的にもだけど言ってることも意味不明。しかも、こいつ脱がねぇの。お前なんか別に見たかねぇけど出し惜しみすんなよって感じ。

そうそう、この映画は冒頭の無意味なレズシーン含めサービスショットはかなりあるんですね。顔はみんないまいちだけど乳は質も量も悪くない。でも、全然嬉しくないんです。それは全く必然性がないから。これは我ながら意外でした。乳が出てりゃ何でもいいのかと思ってたんだけど、そうじゃないんですねー。私も意外にケダモノではなかったのだなぁと感心(爆)
一応マジメに分析すると、おふざけが入ってる映画だと無意味なサービスでも全然OK、むしろ歓迎(笑)、でも、一応ちゃんとホラー撮ってます的な映画だと無意味なサービスは逆に不快。もちろん自然な流れなら大歓迎(笑) ただし、美人で美乳もしくは巨乳ならこの限りではないってとこかな。
何か私って物凄い差別的?ケダモノよりひどい?(@_@;) でも、これは自分にないものを求めてるだけだからいいよねぇ? むしろ哀れと思し召せ。(変な開き直り方)

えー、本筋に戻りましょう。ホラーとしての難点の続きね。
とにかく殺人鬼の人物造型はかなりいい感じなんですけど、あの外見はちょっとやり過ぎでしょ。火傷の範疇を超えてる。ってか、あの状況であそこまでにはならないんじゃないかな? ついでに言えば、トッドに化けてる時は眼の周りは常人の皮膚になってるし。本来ならマスク被ってても一目でわかるぞ、あの火傷は。
あと、冒頭のシーンでのお父さんはお母さんがヤラれてる時に平静すぎ。最初グルなのかと思ったよ。犯人の行動も意味不明過ぎ。実話らしいけど、なんで女ヤッて殺して男と子供は生かしてんの?意味わかんない。かなりインパクトのあるシーンではあったけどね。ああ、今にして思えばこの冒頭シーンが良すぎてつい良い映画のような気がしちゃったのかもしれないな…。

そんなこんなで( 便利な言葉だなぁ^^; )、この映画は全体的に非常に惜しい感じなのですね。実話が元でももうちょっと映画的に面白くできるはずなんじゃないかと思います。
冒頭の過去の回想シーンの迫力に比べて、現在の殺しのシーンはやけに呆気ないとか、そもそもクリスの入院してた精神病院の看護師は何を思ってあんなバカな振る舞いに及んだのか( 映画で見てる限り嫌がらせをしてるようにしか見えなかった )とか、若者たちがパーティをしてた空き家が偶然クリスの生家だったという設定がほとんど生きてないとか、ラストは何故微妙にふざけた終わり方なんだとか、とにかく気になる点が多過ぎる。見てる時は結構面白かったので一応★は3つにしたけど、惜しい作品です。

ちなみにラストはホラーのお約束とも言える次回につながる終わり方でしたが、これのパート?があっても見ないだろうなぁ…。

しかし、これは何故原題(『 HALLOWEEN NIGHT 』 )そのままとか直訳じゃなくて、意味不明の英単語題名になっているのであろうか? 直訳すると 「 狂信者 」とか 「 熱狂的 」 とかなんだけど、どちらにしても内容と合致してないよねぇ。どう考えても原題の方がいいと思うが。ひねりとか全くないけど。でも、洋画ホラーの題名って結構そういう直球が多いですよね。
そんなわけで、昔の配給会社のようにわかりやすくB級な邦題( 『 戦慄のハロウィンパーティー 』とか『 血塗られたハロウィンの夜 』とか^^; ) でもつけてみようかと思ったけど、今回はおとなしく謎の邦題をそのまま使いました。意図が全くわからないので、とりあえず尊重してみたのです^^;