『ホラー映画ベスト10殺人事件』 友成 純一

ホラー映画ベスト10殺人事件 (光文社文庫)

◆ ホラー映画ベスト10殺人事件 (光文社文庫)  友成 純一  ¥500

 評価…★★★☆☆

<作品紹介>
映画評論家・庄内良輔の専門はホラー映画で、中でもスプラッタと言われるストーリーより残虐なシーンを強調したジャンルを好んでいた。そんな庄内は関係者の中では異端児扱いなのだが、ある夜、酒場で出会った二人組の男女に「 映画評論家 」という肩書き故にさんざん悪く絡まれる。粘着質で幼児性の強い庄内はその件についてのグチをこぼすうちに激してきて、二人のことを大声で罵り「 死ね!殺す! 」とまで言い出し、知人らの眉をひそめさせていた。
ところが、その直後に意外なニュースが飛び込んでくる。庄内に絡んだ男が何者かに殺されたというのだ。そして、翌日には女の方も殺される。しかも、かなり残虐な方法で。

それらが有名なホラー映画の殺人方法と同じだということに気付き、不謹慎にも大喜びする庄内。しかし、その次に彼と犬猿の仲である同業者が奇妙な手口で殺されかけ、更にはそれら3件の殺害方法が庄内の選んだホラー映画・ベストテンの上位3作と一致していると指摘した映画雑誌編集者までもが殺害された。それも、そのベストテンの4位の作品と同様の方法で。

どの事件についても動機は充分すぎるほどあってアリバイはない庄内は、その殺害方法の一致の件もあり、警察からも一連の事件の犯人とみなされるようになるが、真犯人である殺人鬼は実は庄内の近くに潜んでいた。そして、捜査の手から逃れようとする庄内の前に、とうとうヤツが姿を現した。

………………

いやぁー、もう、すっごくくだらないです。私は好きですけど^^; ホラー映画好きじゃない人には面白くも何ともないんじゃないかなぁ。ベストテンに挙げられていて各章題にもなっている以下の作品名に反応した方だけにオススメ^^;
悪魔のいけにえ 』、『 スキャナーズ 』、『 2000人の狂人 』、『 悪魔のはらわた 』、『 ハロウィン 』、『 地獄のモーテル 』  ( 6人までしか殺してないので6位までです^^; )





私は友成純一が大好きで、ホラー映画、それもスプラッタ・ゴア系が大好きなので、すっごくくだらなくも面白かったですけど、この作品、よくもまぁ単行本にして、更に文庫にまでしたなぁ。誰が読むんだ?( お前だ。…ってのはわかってるけど、こんな人がそんなにたくさんいるのでしょうか??? ) 
単行本発刊当時は空前のスプラッタブームで、現在はホラーブームかもしれないが、今のブームはちょっと違うんじゃないかなぁ。しかし、これをきっかけに友成作品を復刊させるとか、友成氏に新たに何か書かせるとかいう動きがあれば誠に有難いことです。

…本作に絡めて友成作品を紹介するとか、ホラー映画について語るとかしようかと思ったけど、どちらにしても簡単に済みそうにはないからやめておきます(T_T)

しかし、まぁ、余りメジャーではない方なので、軽く友成氏について触れておきます。
基本的には超( いや、超々? )がつく鬼畜系のSF・ホラー作家で、映画評論や翻訳もかなりなさってます。
翻訳作品ではちくま文庫から出てる『恐怖の都・ロンドン (ちくま文庫)』 と 『鍵穴から覗いたロンドン (ちくま文庫)』 がおすすめです。
前者は切り裂きジャックとかそういう系、後者はヴィクトリア朝ロンドンの知られざる日常( かなり下世話な視点での )などについて語られています。その時代のロンドンのリアルな姿が感じられる良書で、ホラーや殺人好きではない普通のイギリス好きの方にもおすすめですね。ちなみに私は読了後しばらく経ってから友成氏の訳だと気付きました^^;

作家としての氏の著作は手に入りにくい上に、ちょっとオススメしづらいものが多いのですが、廣済堂時代の異形コレクションに収録されてた作品群は凄く良いと思うので、光文社さんが本作のついでに文庫化してくれることを切に望みます。


(8/29読了分)





2000人の狂人 [DVD]

2000人の狂人 [DVD]

  • 発売日: 2013/02/06
  • メディア: DVD

悪魔のはらわた [DVD]

悪魔のはらわた [DVD]

  • 発売日: 2000/04/21
  • メディア: DVD

ハロウィン オリジナル劇場公開版 [DVD]

ハロウィン オリジナル劇場公開版 [DVD]

  • 発売日: 2003/10/23
  • メディア: DVD

地獄のモーテル [DVD]

地獄のモーテル [DVD]

  • 発売日: 2007/08/10
  • メディア: DVD