『タイムクラッシュ・超時空カタストロフ』(99年・米)

◆タイムクラッシュ・超時空カタストロフ(1999年・アメリカ ※TV映画)

監督:マリオ・アゾパルディ/出演:キャスパー・ヴァン・ディーン、キャサリン・ベル他

 評価…★★★★☆

<あらすじ>

売れっ子テレビ・リポーターのトムは、災害現場の取材で事故に巻き込まれ仲間は皆死んだが自分だけ生き残る。それが心の傷となったトムは、仕事を辞めて自分の殻に閉じこもってしまい、家庭生活もうまくいかなくなる。

やがて、何とか立ち直ろうとし始めたトムはタブロイド紙の編集部に働き口を見つける。そこは、「宇宙人が~」とか「陰謀が~」というような大して裏づけのないショッキングなだけの記事を売り物にするような、かなり俗悪なところだった。気乗りしないながらも何か見つけようと、今世紀の大惨事の記事をチェックし始めたトムは奇妙なことに気付く。ヒンデンブルク号爆発、タイタニック沈没、あるいは巨大台風といった大勢の死者が出るような大災害の現場写真のいくつかに同じ男が写っているのだ。それらの事件が起こったのは、古いものと新しいものでは何十年も離れているのに男は全く同じ姿かたちをしていた。しかも、トムはその男に見覚えがあったのだ。彼が職を辞するきっかけになったあの発電所にもヤツはいたのではないか?

男の正体は明らかではないが、この発見は編集長を喜ばせ、トムは詳細の調査のために早速ワシントンへと飛ぶことになる。ところが、その飛行機の中にあの男がいたのだ!そして…。

※このあらすじは私がテレビ放映を1回適当に見ただけの記憶によるものなので、事実誤認等ある可能性があります。ご了承下さい。


深夜に惰性でテレビを見ていたら洋画劇場が始まり、題名見て「あちゃー、これはないだろ」とか思いつつ、そのインパクトに負けてつい見てしまったのですが(笑)、これが意外に面白かったです。主人公の自己中ぶりと女主人公の無意味な爆乳ぶりに驚愕^^;

※以下ネタバレ有り※

どの時代でも大惨事があると必ずその場にいる男…とか言われると、こちとら基本ホラー頭なんで、つい「死神?」とか思っちゃうんですが、題名からするとSFだから「ああ、鬼畜な趣味のタイムトラベラーか^^; 」てな感じで第一の謎からして非常にわかりやすいです。

ただし、一緒に見ていた配偶者(極めて健全な一般人)には私の言っていることが余り理解できなかったようですが(時間航行の際の基本的なルールとかタイムパラドックスとか。鬼畜趣味は私を見ているのでそれなりに理解できたらしい^^;)、逆にその方が純粋に物語を楽しめる感じだったので、まぁテレビ映画としては非常によくできていると申せましょう。SF者だった過去をもつ鬼畜趣味の私でも結構楽しめたし、下手な劇場用映画よりよっぽどいいかも。こういうのDVDにしてくれるといいのになぁ。

そう、私の場合、自分の趣味で5本借りる(5本セットでレンタル料が安くなるので常に5本借ります^^;)と見るのが辛くなることが多いので、なるべく毒にも薬にもならないような作品を一本は借りたいと思って毎回探すんですが、これがなかなか難しくて。ギャグやコメディも好きなんですけど、アメリカものとか下手すると腹たってくるのがありますからね…(-"-;) なので、最近では最後の一本は古い特撮を借りることが多いですね。おかげでウルトラQなんか何度も見てます。まぁ、何度見ても面白いんですけど、できれば『マタンゴ』とか『怪奇ガス人間』とか『妖星ゴラス』とか、ああいうのでまだ見てないヤツ(絶対あるはず!)が見たいなぁ…。お笑いブーム初期で私がまだ隠居の身でなかった頃は、お笑いも見たりしてたけど今はさすがに食傷気味で見る気がしません(T_T)

しかし、お笑いに限らず現代日本人の傾向だと思うけど、何ていうか消費し過ぎだよね。ああいうやり方では芸のある人は荒れちゃうし、徒花(今だと小島よしおとかな…)は咲き狂った末に根っこまで枯れちゃうよな。人によっては人間としても終わっちゃうだろうな。何かこういうのって見ててツラいよねぇ。……って、何故かお笑い談義になってしまっていた(@_@;) いや、実はほんとに好きなんですよ。って、別に隠してないですけど。そんなわけで、語ろうと思ったらナンボでも語れるんですけど、まぁ、それはまた別の機会に。

いいかげんに閑話休題しましょう。いや、別にそんな力入れて語りたいほどの映画でもないんですが、まぁ一応^^;

この映画がよく出来てるなぁと思うのはいい感じにオチてるところ。さすがTV映画。主人公が物凄く歴史を捻じ曲げたにも関わらず、ラストにはちゃんとそれに応じた未来が存在してるところが示され、そして、それが捻じ曲げる前と大差ないらしいところ、あと主人公はSFファンからすると考えられないような行動をとってるにも関わらず、話は一応彼にとってのハッピーエンドになってるらしいところなど感心させられました。ハードSFファンはめちゃめちゃ突っ込みたいかもしれないけど、私は許容範囲内^^;

しかし、最初に悪の根源か?くらいに思われていた男=実は鬼畜シュミの単なる旅行者が事故に巻き込まれて死んじゃうのはかわいそうでしたねぇ。しかも、後半ではほとんど忘れられてるし。逃げられるのに何で逃げねぇんだよって感じの死に方だったけど。しかし、まぁ、あれは鬼畜シュミの人に対しての教訓にもなるからいいのかな。「明日は我が身」とか「君子危うきに近寄らず」とかね^^;

教訓といえば、この作品を見て「知らないでいるということや深く考えないでいられる人はやっぱり強いなぁ」と思ってしまいました。もっと良い表現をすれば自分の考えを他者に左右されない人、かな^^;

主人公はタイムトラベルにおけるルールなんて当然知らないので、人死にが出るような事故が防げるなら防がなきゃ!って単純に考えて、それに従って行動するんですね。その信念の強さと来たら最初の飛行機事故を食い止めるためにハイジャックするほどですよ。

で、途中で女主人公が「歴史を変えるのは良くないんじゃないかしら?私達の行為が未来の人々に大変な影響を与えるんじゃ」ってなことを言うんですが、主人公は「目の前の危機を見過ごすわけにはいかないだろう。歴史は俺たちが作っていくんだ。未来は変えられるんだ」的なことを言うのです。

「なるほど!」と目を開かれる思いがしましたね。確かに1万人もの人が死ぬ大惨事を見過ごしてまで、過去の大惨事を見物するタイムトラベルツアーを企てるような未来を守ってやる必要がどこにあるのか。確かに彼は正しいよ。

それと本筋には余り関係ないんだけど、トムをハイジャック犯として尋問していたFBIのおじさんがとても素敵だと思いました。古いタイプで実務的なんだけど、現実に対する柔軟な理解力と対応力があるんですよ。自分の常識や信念で理解できないことや納得できないことが起こった際に、自分の意見は曲げないけど、それはそれとして現実に起こってることから導き出される結論も無視せずに双方の対策をしておく(トムがハイジャック犯であるという事実は事実なので、トムを逮捕するよう尽力しつつ、彼の言っていることが今まで的中しているので災害に備えて消防車や救急車を用意しておくんです!)って、そんな人なかなかいないよぉ?あんな上司の下で働けたら幸せだわー。