『まどろむベイビーキッス』 小川 勝己

(2005年9月読了分。感想などは当時のもの) まどろむベイビーキッス 小川 勝己 (角川文庫) ¥620  評価…★★★☆☆ <あらすじ> キャバクラ「ベイビーキッス」で働くみちるは、SHIHOという名前でホームページを作りそこに訪れる人たちとのチャットやメールのやりとりを楽しんでいた。ところが、そのサイトが突然「荒らし」にあってしまう。たまたまかと思っていたら自分の不用意な書き込みによる結果を恨んでの行為らしくその悪意は凄まじい。 同じ時期に仕事先のキャバクラでも人間関係が悪化するなどして、元々偏執的なところのあるみちるの精神は次第に追い詰められていく。
現代日本の鬼畜系では私の中ではベストかもしれない小川勝己氏の文庫新刊です。 鬼畜系なのに何だこの甘い題名は!? と思われる方も多いでしょうが、作者のつけた英題を見れば納得です。それは 『MAD-ROM/Baby kisses』 。 かなりネタわり気味ですけどね^^; まぁ、題名もそうなんですが、女の子が主人公なのもあって、作品自体も今までのものとはかなり違う雰囲気ではあります。登場人物全て異常者であったような 『彼岸の奴隷』 などとは違い、かなりマトモでかつ幸薄そうな感じの人が多いし主人公もそんなにイッてる感ないので、どうもみんなかわいそうな気がしちゃって読後感は良くないです。 電脳空間の悪意や狂気に関して述べるのにはこの場はふさわしくないと思うので差し控えます。 期待していた鬼畜系とは違うけど、途中あっと言わされるところもあるし題材も現代的だし、構成にもちょっと凝ってみたりしてて、まぁ悪くはないです。今後の成長に期待って感じですかね。でも、私は今までの路線がすきです。 ※以下ネタバレ有り しかし、みちるが銃をもともと所持してる必要性はなかったんじゃないかなぁ。あれでかなりリアリティが殺がれる。ヤクザ殺して奪っただけで充分では? そして、みちるが突撃した結果が描かれないのは仕方ないし正しいとは思うのですが、私は知りたいです…。エピローグにテレビニュースとか新聞記事とかで挿入されるんだろうと勝手に思い込んでいたので凄く欲求不満です(T_T)