『<好色時代小説集>息づかい』 阿部 牧郎 他

<好色時代小説集>息づかい 阿部 牧郎 他 (講談社文庫) ¥580  評価…★★☆☆☆ <内容紹介> 発明家はとんでもない女好き(『いろいろ源内』 阿井渉介) /子供ができない若夫婦と極上の妾(『借り腹』 阿部牧郎) /旅芸人の美少年と娘の恋 (『カナオヤとカナコの黄昏の散文』 岩井志麻子) /若後家と陰間と和尚の三人遊び (『振袖地獄』 勝目梓) /尼が恋しく嫁とできない若旦那(『比丘尼宿の女』 小杉健治) /心中を仕損じた妖しい遊女(『木更津余話』 佐江衆一) /側室の欲望を満たす男女交接図(『偃息図』 東郷隆) /強盗強姦を重ねる悪漢坊主(『悪萬』 花村萬月) /昔の男は色気ある僧侶となり(『結葉』 藤原緋沙子) 9人の作家が競う珠玉の艶事集。  (文庫裏表紙紹介文に作品名と作者名を付加しました)
このコンセプトと題名に、ちょっとどうかなぁって感じではあったのですが、岩井志麻子(元々好き)と佐江衆一(時代小説の人で結構好き)と花村萬月(え?この人鬼畜系でしょ?)の作品が読みたかったのと、他の人々のもこういう機会でもないと読まないだろうしと思って購入しました。 結果はまぁ微妙~な感じですねぇ。好色って言葉からイメージされるような明るい感じでもないし、艶事ってほど風情もないし、エロ小説ってほどでもないし。ちなみに、お目当ての三者は三様に面白かったですけど、「好色時代小説」とはちょっと違う感じ。 作品集中で一番イメージに合うのは『いろいろ源内』かな。とぼけた感じで面白いし、主要な話は源内が惚れた女(と言ってもカラダに執着してるだけの半玄人)といかにしてやるかって話だし。あ、でも、紹介文に書かれてるみたいな「とんでもない女好き」ってほどのことはないですよ。 『振袖地獄』は面白いけど、ちょっと陰惨な感じだしなぁ。陰惨といえば、花村萬月のは予想を遥かに上回る鬼畜っぷりで仰天しました。ふつうの人はこれ読んだら確実に萎えるだろう…(-"-;) そんなこんなで、個々の作品としてはともかくアンソロジーとしてはどうだろうということで総合点は低めとなりました。あ、各作家に全く説明がないところも大いにマイナス。