『双頭の性。』 高橋 一起

(2005年7月読了分。感想などは当時のもの) 双頭の性。 高橋 一起(新風舎文庫)\658  評価…★★★★☆ <あらすじ> 性同一性障害により性転換手術を受け女になったはずだったが、老化により性別さえ明らかでなくなってきた薫。そんなある日、同じく性同一性障害の友人・アコが自分あての遺書を残して自殺してししまった。内容は「葬式のかわりに森のテラスで午餐会を開いてほしい」というもので、招待客もメニューも細かく指示されていた。その招待客たちは全て性同一性障害の仲間で既に自殺していた。そして指定された料理は全て彼(女)らの自殺方法を暗示しているようだ。これは集団自殺なのか連続殺人なのか? ------------------------------------ アブノーマル好きの私、書店で帯の惹句(「年老いたゲイが焼身自殺をした」)をみてすぐさま購入しました。 で、相当面白かったです!よくぞここまで掘り下げて描いてくれました!って感じです。作者が全くのノーマルってのがちょっと信じられない。推理小説としても結構いい線では? ただ、こういう世界に全く理解がない人にはちょっときつ過ぎるかな。筋とは別の部分で理解できないことがあって読み辛いかも。ちなみに理解がある人はある人でかなりブルーになるかと思います。当事者の方々の気持ちはおこがましくてとても推し量れないですが…。  ※以下ネタバレ有り
とにかくノーマルな人がひとりも出てこないんですよ。(久木野くんは一応ノーマルかもしれないが普通ではないしかなり危うい感じ) でもって、人が死にすぎる!主要登場人物皆殺しって感じ。実際に登場してない自殺者含めると何人だ?10数人は死んでるね。麻々ちゃんが死んだのは結構ショックでした。彼女の人生は何だったの?という感じです。 最後の切り裂きソニア(笑)のシーンも凄い状態だしなー。ラストがこれだったことによって非常に凄惨な話だったという印象が残る。薫の行く末も気になる。警察や裁判でひどい目に合うんだろうなーとか。 とにかく濃くて重い話です。