『 U.M.A.ライジング 』( 2009・加 )

U.M.A.ライジング [DVD]

◆ U.M.A.ライジング [DVD] ( 2009年・カナダ )

 監督:シェルドン・ウィルソン

出演:ルー・ダイアモンド・フィリップス、A・C・ピーターソン、シモーヌ・エリース・ジラール、ヴラスタ・ヴラナ、ジョー・コブデン 他

 評価…★★★☆☆

<あらすじ> 

アメリカはネブラスカ州の田舎町リライアンスにカーニバルがやってきた。娯楽の少ない土地故にほとんどの住民は歓迎するが、昔気質の神父はカーニバルを堕落しているとして批判する。そのカーニバルは確かにありきたりのものとはちょっと変わっていた。自らを異端と称し、実際に所属している面々も今日では珍しいフリークスたちだったのだ。しかも、その中でも目玉といえる出し物が何と 「 UMA 」であるという。カーニバルの口上に従えば悪魔だ。

町の保安官であるサムは、住民の数少ない娯楽としてカーニバルをどちらかと言えば歓迎していたが、神父の反対運動の激しさに負けたのと一応の手順として、上演前にカーニバルを視察にいくことにした。

そして、足を踏み入れたカーニバルは予想以上のいかがわしさだった。想像もしなかったような多種多様なフリークスのほかに、本当に超自然的な力を持っているらしい千里眼の女性、得体の知れない団長と側近、そして、問題の 「 悪魔 」 だ。本能的な嫌悪と危機感を感じつつも、手続き上問題のないカーニバルとその出し物に口出しもできず、厳重に注意するよう指導して済ませたサムだったが、その不安はほどなく現実の物となる。

大盛況のカーニバルの中、観客の挑発行為等により興奮した謎の巨大生物がが戒めを引きちぎって逃げ出したのだ。驚くべきことにそのUMAは自由に飛ぶことができたのだ。悪魔としては実に自然なこととも言えるが。

その逃走劇に伴う混乱等をサムらが何とか治めようとする中、その怪物は本格的に住民を襲い始める。最初の被害者は神父の息子だった。神父の反対運動が狂的な様相を帯びる中、住民たちは怪物捜索隊を組織する。カーニバルの団長も当然それに加わった。しかし、彼の謝罪や言い訳には何ともいえない胡散臭さが満ちており、サムは警戒しながら捜索を続ける。

しかし、努力も虚しく、怪物による被害と死者は続出す。しかも、その中には明らかに人間の関与を疑わせるようなものもあった。

保安官、団長、そして神父のそれぞれの思惑を秘めながら事態はさらに混乱を増していくが…。


最近のこのテの作品には珍しくテンポが良くて、殺戮ぶりもなかなか、俳優陣も悪くない。

……のだけど、うーんと唸らざるを得ない点が多数(^_^;)

※以下ネタバレ有り※

何よりも言いたいのは、ラストはあれでいいのか???ってことですな。

一応主人公的だった保安官が死んで、怪物は完全には死んでなくて、キーパーソンぽかったサマラは何の役にも立ってない。むろん話も全然オチでない。

いや、ある意味、あれでいいといえばいいんだけど。サマラ以外のセリフがあったクラスの登場人物は全滅だし、町はこのまま滅びるのかなぁみたいな感じで。

でも、モンスターの説明が全くされてないのはいくら何でもひど過ぎない?(T_T)

作中で 「 ジャージー・デビル 」 なんじゃ? みたいなくだりはあるんだけど、真偽は明らかじゃないし。

そして、その造型もひどい。最初なかなか姿を見せてくれなくて、勿体ぶりやがってとか思ってたんだけど、こりゃ見せられんわなって感じ。

まぁ、ああいうのもそれはそれで味があって、私は嫌いじゃないが(笑) 

あ、でも、仏教徒の私は絵に描いたような安い悪魔で笑ってしまったけど、キリスト教国の人にはあれでもそれなりに忌まわしい姿に映ったりするのかしら???

あとキリスト教徒と言えば、本作の神父さんは物凄い神父失格だよね?

キリスト教って、基本的には復讐って認められないでしょ? 右の頬を打たれたら左の頬を出さなきゃなんでしょ???

異端を厳しく排除するというのはわかるけど、冒頭はともかく途中からの神父さんは確実に復讐心だけだったよ。

いや、復讐自体は全く否定しないんだけどさ。

で、モンスターはお粗末なんだけど、それ以外のカーニバルの面々には妙に力が入っていたりするのね。誤解を招くの承知で言うけど、私はあのテのフリークス満載の古き良き時代のサーカスが好きでねぇ(^_^;)

かの名作 『 フリークス 』 とかたまらなく好きだし、一緒にするのはどうかとも思うけど、 『 バスケットケース  』 とかも大好きなんだよね。

あの設定があったことがこの作品への評価を高くしているといえましょう。 しかし、今の時代にあのテの見世物ってアリなのかな?日本では完全に絶滅してて、ほぼヤラセのみの見世物小屋すら風前の灯なんだけど。

色々と議論のあるところだとは思うけれども、本人達が納得してやっていて、正当な報酬を得ている場合に限っては、私はああいう見世物はアリだと思うんだけどな。自分の特性を活かして生活できるって素晴らしいことじゃないですか?

時代に取り残されたようなカーニバルと同じく前時代的な阿漕で物凄い悪党( 現代社会であんなに簡単に人を殺すか??? ) の団長もいいよね^^;

でも、できるなら身内にだけは優しいとかそういうのがあるともっとよかったなぁ。

あと、どうでもいいことだけど、早々に殺されてしまうティーンエイジャー2人組はどっちも家庭に問題がありそうだよね。牧師の息子のテイラーくんは父子家庭、ジェシーは母子家庭だな、きっと。

こういう背景を妙に描き込まれるのもうっとうしいんだけど、この作品みたく全く説明がないのも何か気になるよねf^_^;)

しかし、ルー・ダイヤモンド・フィリップスは、なんでこういう微妙な映画にばっかり出るんだろう…。 何か完全にダメってわけじゃないけど、ええ?って感じの作品にばかり出てません? 前にも何か特急列車の中にエイリアン( モンスター? まぁ似たようなもの^^; )と犯罪者が偶然居合わせていて…みたいな映画に出てたよな。あれもクズってほどじゃないし、見てる時はそれなりに手に汗握るんだけど、いろいろな意味で、え、何でそう???みたいな作品だった。