『 アサルト D 』 ( 2005・米 )

◆ アサルト D  ( 2005年・アメリカ )

 監督:グレゴリー・レムキン

 出演:ジェニファー・リー・ウィギンス、オーシャン、クリス・ファシー、ヴァズ・アンダース 他

 評価…★★★☆☆

<あらすじ>

上官への反抗的な態度がなどが理由で軍を除隊になったジニーは、今度は刑務官の職に就くことになる。囚人の数は少ないが、それぞれが凶悪犯であり精神的に問題を抱えているので、対応には十分気をつけるように言われる。紹介されたメンバーは確かに一癖ありそうな連中ばかりで、慣れない環境でもあり緊張しながらの勤務初日だったが、その夜にジニーの監視中に早速異変が起こる。

昼間に運び込まれ来てた男の様子がおかしいのだ。スラブ系らしいその男は上半身裸で意味不明のことをわめきながら暴れていたため、不審者として尋問したところ言葉は通じず、事情はわからないが大金を持っており、胸に大きなタトゥーが入っている風貌などからも善良な一般市民とも思えないので、とりあえず収監しておくことになったのだった。その男が突然自らの腕を食いちぎり始め、錯乱したのかと思って見ていると、何と体内からペンダントを取り出し、それを自らの首にかけて呪文を唱え出したのだ。

トランス状態になった男を見て、何らかの発作を起こしたと判断した先輩刑務官は、ジニーを連れて救出に向かう。苦しみ痙攣している男を抱えあげて運ぼうとした時、男は突如として彼らに襲いかかってきたのだ。そして、その姿は信じられないほどに変貌していた。いまやモンスターにしか見えなくなった男は、その姿にふさわしく、襲い掛かった刑務官を引き裂き貪り喰らう。

ジニーとそれまでの様子を目撃していた囚人たちは、協力してモンスターをとりあえず通路途中の柵内に封じ込め、自分たちは監房内へと避難するが、これでは一時しのぎに過ぎない。ヤツを倒すか脱出するか、何らかの手段を模索するジニーたちだったが…


余りの荒唐無稽な設定と意外な生き残りのメンツに★ひとつおまけで、★3つかなぁ(^_^;)

面白くないわけではないし、人物設定とかそれなりに魅力的なところもあるのですが、テンポが悪かったり、不自然だったり、微妙にオチてなかったり。あと、グロが中途ハンパなのと女性がヒロインひとりしか出ない上に全くサービスシーンがないのがなぁ…。あ!そうか!そこをフォローするために冒頭に物凄く意味不明なエロシーンがあるのか! うーん、その心意気は買うが、あれはダメだろう…(-"-;) いや、エロシーンとしてはかなりいいんですけど(笑)、構成上ちょっと問題がね。

※以下ネタバレ有り※

まぁ、とにかく、ルーマニアのとある村では素質のある子供は神隠しにあって( その後に 「 誘拐されて 」って言ってるけど、この場合意は主語は何者なんだろう… )、変身できる身体に代わる修行を受けるんだ。そして、彼はその古くから伝わる強力なしきたりで、彼は殺すことと守ることしか知らない。って、設定に驚愕ですよ(笑)  しきたりの細部が全くわからないし、意義も意味もわからない(^_^;)

で、マルクーは続けて曰く、彼は俺の遠い親戚で、俺がマフィアに入った時から俺の守り神になったんだ。 ……これで結論が出たみたいな言い方ですが、より一層わけがわかりませんが?

大して濃くもない血縁があるというだけの理由で、マフィアに入ったような輩を何故守ってやらねばならんのだ? その村、もしくは、その一族ではひとりにつきひとり守り神がつくとかいう風習があるのか?そんなことしたら、村人同士で何かあったら物凄い殺戮が繰り広げられそうだよね。ってか、村無くなりかねないよな。目撃者は消せルールだもんな。しかし、地元の人は守り神の存在知ってるわけだし。うーむ、仕組みがわからん…(*_*)

最初の、マフィアでトラブル処理のために開発した改造人間で俺を殺しに来たんだみたいな説明も相当に突飛ではあるけど、一応必然性があるからそれなりに納得できたんだけどねぇ。

物凄いさらっと説明されてる 「 素質がある 」 「 変身できるようにする 」 なども気になるのですけど、そこは呪術の世界だから何でもアリアリかなぁと思って流せるのですが、前提条件とか決まりごとがはっきりしてないのは凄く気になる(>_<)

決まりごとと言えば、最初は変身するのにめちゃめちゃ時間かかってたのに、その後は物凄く簡単に変身できるので不審に思って見てたけど、多分あれは人肉を喰ってバージョンアップしたからなんだろうな。説明はされてなかったけど、別のシーンでヤツは人を喰ってパワーアップするとは言ってたから。だから、これはご都合主義じゃなく、ちゃんと規定された出来事なのだわ、きっと。…と、別に弁護することもないけど(^_^;)

あと、腕に直径7cmはあろうかと言うペンダントを傷ひとつ無く埋め込んだ方法を知りたい(-_-) それと、そういう技術がありながら、何故取り出す時には自らの腕を喰いちぎらないといけないのかも。あ、でも、後者は呪術的必要があるのかもしれないですね。まぁ、理由はさておき、ヤツはおそらく人食いなんだということはプロローグで観客にはわかってるので、これから何か起こるんだというスリルもあるし、ショッキングさとグロさもあって、なかなかいいシーンでもある(^_^;) 

しかし、収監する時に金属探知機とか通さないのかなぁ…。この刑務所ってIT化されててセキュリティー万全なんだか、老朽化してて杜撰なんだか判断つきかねるのよね。自動的に閉まって身動きとれないかと思うと、ドアが故障してたり、天井裏に容易にあがれたり等々。

ああ、いかん、突っ込み出すと止まらなくなりそうだ(>_<)

あとはざっと済ませます。えーと、刑務所というよりは精神病院ぽい ( 中にいる人々も管理の仕方も ) のはもしかしたら、何か説明とか理由があったのかもしれないので良いですが、そのため、刑務所モノ+怪物モノ=閉ざされた空間で凶悪な囚人と人知を超えた恐ろしい怪物が暴れ、それぞれと戦いながら脱出を目指す主人公…みたいな図式は全く成り立ちません。囚人は殆どみんな知的で紳士的でいい人たちです。チームワークもあるし。むしろ、ジニーの方が乱暴モノだ^^;

なので、刑務所モノ的な面白さは期待できませんが、それぞれが個性的な設定 ( 黒魔術に走った元神父、民族運動をするアラブ人、とある障害から暴力を振るうようになり刑務所にまで入るはめになった男など… )で、なかなか面白かったです。

怪物の方はというと、うーん、あの造型は何なんでしょうね? 設定としては獣人みたいなんだから、もう少しまとまった形にしても良かったのではないかと思うのですが、多分気持ち悪さだけを追求しちゃったんでしょうねぇ…。でも、今どき怪物の造型ぐらいではそう驚かないよねぇ。しかも、サイズは人間並みだしね。

しかし、囚人の中のリーダー格で、しかも、ジニーの里子時代の義兄だったリッジズが物凄くあっさり殺されたのにはほんとにびっくりでした(@_@;) かなりの死にキャラのお調子者タイラスだけが無意味に生き残るなんて! まぁ、彼が一番社会復帰できそうではあるけど、別にそういう問題で決めたわけじゃないよね…。意外性を狙ったのかなぁ。物語性はあってなきが如しだから、そちらを優先するというのも有りは有りか。とりあえず、こちらを多少なりとは驚かせ感心させることには成功してるものね(^_^;)

でも、怪物の胸に埋め込まれている ( というか一体化してる? ) ペンダントをえぐり取って機能停止させるって力技は凄いな。さすが乱暴者ジニー(^_^;) その後にそのペンダントを 「 お守りになるような気がして 」 って自分で着けてるところも実に野生的です。原始的な戦闘部族の人のようだ。

そういえばラストに意味ありげに映してたけど、あれは別に魔法のペンダントとかではなく、おそらくは必要十分条件のひとつで、あれに加えて、素質があって、かつ子供の時から修行してないと変身はできないはずだから、ジニーが変身するとかいうことはないから、意味ないよね。まさか、続編狙い???

ところで、この邦題って全くもって意味不明ですよね。 『 アサルト13 要塞警察 』 って映画があったから、あれに乗っかろうとしてるのか? でも、要塞でも警察でもないし…、ってか、 『 アサルト13 』 って、題名もそもそも意味不明だよな(-"-;)

「 アサルト= assault 」で、意味は 「 突撃、攻撃、襲撃 」 と言ったところでしょう? その元ネタになってるらしい映画のことを全然知らないし調べてもないけど、原題は多分 「 ~への突撃 」 とかいう感じなんだろうと思うのだけど、何でこういう変なカタカナ邦題にしちゃうかねぇ…(-"-;)

ちなみにこの映画の原題は 『 SHAPESHIFTER 』。 言葉通りに 「 変身する者 」 とか訳しちゃっても別に意味はわかりますが、これはかの有名な魔物 「 シェイプシフター 」( 色々な姿に変身する能力をもつ。古今東西あちこちに伝承があり、特徴は諸説ある )にかけてあるのでしょうから、ストレートにカタカナでもOKですよね。うーん、こっちの方がわかりやすいと思うのだが、確かに客は呼べない感じだな…。 私もこの意味不明な邦題にアヤシゲなパッケージというだからこそ、手に取ったわけだしね。 この組み合わせはB級以下映画好きの心をくすぐるんですよ。「 うわ、これダメそう~! 」と思いながら借りるわけです f^_^;) まぁ、私は 『 シェイプシフター 』 でも手に取るだろうけど^^;