『やさしい男―慶次郎縁側日記』 北原 亞以子

 

やさしい男―慶次郎縁側日記― (新潮文庫)

 

やさしい男―慶次郎縁側日記― (新潮文庫) 北原 亞以子  ¥460  

 

 評価…★★★☆☆

 

<内容紹介> 無慈悲な理由で仕事を失くし、女房子供を泣かす食い逃げ者に身を落とす。腹の虫も治まらぬうちに、鳴くのは同じ腹の虫とは洒落にもならない。生き馬の目を抜く江戸の暮らしは、負けるものには容赦ないが、町にあふれる食い詰め人も裏の事情は十人十色。ご存じ「仏」の慶次郎の目に映るのは、罪を背負ってなお憎みきれない人間ばかり。庶民の現実を円熟の筆で描く大人気シリーズ第七弾。 表題作他、『理屈』 、 『三姉妹』、 『断崖絶壁』、 『隠れ家』、 『悔い物語』、 『除夜の鐘』、 『今は昔』 の全8篇を収録。( ※文庫裏紹介文に各話タイトルを付加しました)

 

 


巻が進むにつれて薄くなっていくのが気がかりな慶次郎縁側日記シリーズです。

文字も大きくなってるから最初の方と比べると収録量に格段の差がありますよね(-"-;) そして、同時に内容の方も薄くなっているような気がしないでもないですね。まぁ、これは仕方ないことではあるけど。慶次郎自身に関係がある話はもう一段落してますからね。関係者でも辰吉とおぶんもとうとう収まったし、後は吉次くらいだもんね(厳密には吉次は慶次郎の関係者じゃないですが^^;)。

それに、私は正直なところ、慶次郎がらみの話はもうあんまり読みたくもなかったりもするし。お登勢とどうこうとか、晃之助・皐月・八千代たちとの仲睦まじい様子とかどうでもいいんですもの。

晃之助一家との様子は複雑な関係を考えると何か変な気分になるし…。

私は常に、三千代さんの救われなさを思わずにはいられないんですよね(T_T)

 

まぁ、そういう背景を抜きにして読むと、やはり安定した面白さではあります。ちょっと落ち着き過ぎちゃってる感はありますが、『除夜の鐘』や 『悔い物語』 のような嫌な感じの話もありますし、まぁ、まだまだいけるかなぁ。『三姉妹』は嫌な話のようでいい話ですね^^;