『 落ちる 』 (2005・英)

 

THE DESCENT (2005年・イギリス)

 監督:ニール・マーシャル/出演:シャウナ・マクドナルド、ナタリー・メンドーサ他

 評価…★★☆☆☆

<あらすじ>

サラは運動好きの女性で、よく同じ趣味の友人数人と色々なスポーツを楽しんでいた。その日もボートを楽しむ彼女を夫は娘と一緒に見守っていた。まもなく誕生日を迎えるかわいい娘に優しい夫と共に幸せな気持ちで帰途についていたサラ。しかし、夫の様子がおかしいのに気付き声をかけた次の瞬間に全ての幸せは崩壊した。会話に気をとられちょっと車の進路が逸れた瞬間に同じく進路から逸れた対向車と接触し、その車の積んでいた鉄骨が夫と娘を貫いたのだ。

それから一年後、夫と娘を一度に失ったショックからなかなか立ち直れずにいるサラを励まそうと、あの日一緒にボートを楽しんでいたベスとジュノが中心となって、ちょっとした冒険旅行を計画する。冒険好きのジュノが立てた企画はアメリカのアパラチア山脈奥地の地下洞窟探検で、メンバーは顔なじみの仲間を中心とした女性6人だ。

女ばかりでにぎやかな冒険旅行が始まるが、その中でひとりサラだけは気分が沈んでいた。悪夢を見たり幻のようなものを見たりする彼女をベスらは気遣いつつ進んでいくが、そこで事故が起こる。調子の悪いサラが道にはさまったと思ったら突然その地点で岩壁が崩落してきたのだ。サラは何とか抜け出したものの、出口は塞がり予備のロープも失ってしまった。最初から観光地にしては様子がおかしいと思っていたジュノ以外のメンバーがここに至って、彼女を問い詰めると何と彼女は皆をだまして名前もつけられていない未知の洞窟に案内してきていたのだ。冒険好きの彼女に悪気はなかったようだが今や事態は最悪だ。アウトドア慣れしている彼女達はそれでも何とか進んで出口を見つけようとするが、洞窟の中では次々と予想外のことが起こり、事態はどんどん悪化してく。さすがにパニックに陥りかけた彼女たちを信じられないような更なる恐怖が襲う。

この洞窟は一体どんな場所なのか?そして彼女たちは外に出ることができるのか?


※※※今回はいつにも増して、偏見に満ちた暴言多めの感想となっておりますことを予めお断り申し上げます※※※

※以下ネタバレ有り※

んー、何だかなーって感じでしたな。まぁ、これは先入観があったのがいけない。DVDの発売時期が近かったせいか、『ハイテンション』とこの作品を比べて、こっちの方がよっぽどいいっていう意見をいくつか目にしてたのですね。私は好事家の間では評価が低いらしい『ハイテンション 』が結構好きなんで、それは見ねばなるまいとずっと思っていたのです。で、ようやく今回借りる機会に恵まれたわけですが、ふとパッケージ裏の説明を見て、「あ!これ新作時に説明見て借りるのやめたヤツだ!」と気付きました。うわぁ、これ評判聞いてなかったら絶対借りなかったなぁ…。 だって、中年の体育会系女の集団の密室ホラーなんて見たいっすかぁ???

そんなわけで嫌な予感を胸に抱きつつ見始めると、冒頭から川下りかなんかのシーンで、うわ、こいつらと絶対友達になれねぇっていうテンションのオバサンたち。そして、それを何故か楽しそうに見守る夫と子供。(私は運動するのにも余り興味はないのですが、してるのを見るのは全く興味がないんです。それもプロならともかくアマなんて理解の範疇を超えてる)  で、そんな中であからさまに不倫関係を匂わせる中年男女。 ちょっとこれはないわ…と思いつつ見てたら、いきなりまた、「いや、それはないでしょう!」って事故で、もう、どんだけぇ~?(すいません、つい(>_<) ですよ。

そして、畳み掛けるように「それから1年後」って、心ある人はこれだけで見る気をなくすのではないですか?(ここで言う心ある人は私基準なので一般的な意味で心あるかどうかは保証の限りではありません(-_-)b)

で、またムダにテンションの高い体育会系のオバサン(20代後半らしき人もいるけど)が集まって、ワイワイガヤガヤ。友人の夫を寝取っておきながら友達面する女、それを知ってて知らないふりしていながら双方の親友ぶってる女、異常に鈍くてそれらに気付かない女、それとは全く無関係のありがちなバカ女…と各種そろって、この時点でもううんざり(-"-;)

洞窟に入ってからのアレコレも何だかなーとしか言いようがない。サラもそんないちいちパニック起こすなら来るな、周りも知ってるんだから誘うな、ジュノの意図は全く不明で意味わかんないクソバカだが、他の女も自分たちは全く下調べもしないのもおかしい等々突っ込みどころは満載ですわ。で、こんなわけわかんない人たちが洞窟の中で人知れず白骨化したところで何てことないっていうか、むしろその方が世の中のためじゃね?くらいの気持ちで見てるので全く感情移入できない。もう、途中から半ばイライラしながら見てましたよ。

何でこんなのと『ハイテンション』比べるわけ?全く土俵が違うじゃん(-_-#) とか思ってると何か微妙にホラー風味が出てくる。あれ?と思って見てると、出ましたよ!愉快な地底人くんが!(爆) えー、この造型はないんじゃないのぉ?って感じで、ある意味かわいい連中です^^;  いや、そりゃ現実に地底で出くわしたら怖いだろうけど、これはあくまでも映画だし、もう少し何とかしてほしかったですね。あれだったらアウストラロピテクスか何か出てきた方がよっぽど怖いわ。

暗闇に適応してるから目は見えないってのはいいけど、音にしか反応しないのは変でしょ。鼻も利くだろう。あと、そんなに暗闇に適応してるくせに何故地上に狩りに行く(行ける)の? そして、洞窟に散らばってた骨の数からすると相当数の人間が犠牲になってるはずなのに地元にそういう情報はなかったの? あと、エサの存在しない洞窟でなんであんなに繁殖してんの? これが最も疑問だな。未来の医学博士サムによればベースは人間なんでしょ。余りにムリがないか?

ああ、B級以下のホラー映画に突っ込んじゃいけないのは重々承知しておるのですが、何かB級じゃないふりしてる風が見受けられたもので、つい突っ込んでしまいした。すいませんm(_ _)m

でもさぁ、モンスター出してくるんならあの変な人間模様いらなくない?その設定が大して活きてるわけでもないし。で、ラストにサラにジュノを殺させて(直接的に命はとってないが)おいて、結局一番怖いのは女でしたー的なオチかぁ?って感じで、最後は既にムカついて見てたんですが、ここでまさかの夢オチ!(まぁ、作中で何度も繰り返されてるんですが) いや、意外だったらいいってもんじゃないから、作品の首尾結構としては脱出できてる方がいいから。まぁ、もはやどうでもいいっちゃどうでもいいですけどね(-"-;)

しかし、この作品で一番嫌なヤツは自分が間違って殺されかけた腹いせか何か知らんが、この期に及んでサラにジュノとサラの夫の不倫を告げて、「彼女を信用しちゃダメ」とかいうベスだな。お前、知ってて黙ってたくせに。しかも、ジュノにもいい顔してただろうが。

あと、妻にも愛人にも同じことを言うポールも最低。ていうか、「日々を大切に」とか常に言ってて、それを刻んだものを贈ってくる男なんか吐き気がするわ(-_-#) しかも、それ愛人に贈るんだよ?有り得なくね?しかし、妻と愛人を体育会系ということ以外は全く違うタイプにしているのだけは評価できる。

で、サラも短絡的に怒ってジュノを殺しちゃうけど、別にポールとジェシーが死んだのはジュノのせいじゃないし、そもそもあんたのダンナも妻の友人と知りながらジュノと付き合ってたんだからな。始まりや経過がどうであれ、男がその気じゃないと関係は成立しないんだからな。ジュノは一応みんなが見捨てようとしたあんたを助けに来てくれたのにさ。もっとちゃんと考えて行動しようよ。やれやれ。

というわけで、私の中ではだんぜん『ハイテンション』の方が上ですね。だって、こっちはキュートな女子大生ふたりと殺人鬼の話なんだもん(爆)

って、まあ、それも重要な理由ではあるんですが、余計な要素を入れずに(実は最後で入ってて、これが世間的評価が低い理由だと思うんだけど、まぁ途中まではわからないんで…)単純に娘さんと殺人鬼との攻防って感じになってるところが私は好きなんですね。

ほんとに怖がらせてくれるとか面白がらせてくれるのではない限り、ホラーはできるだけ単純な方が良いと私は思っているのです。

ところで、物凄くどうでもいいことなのですが、今回の題名和訳も結構悩みました。

「 descent 」って結構意味があって、第一義は 「下降」なんですが、 「没落」 とか 「急襲」 なんて意味もあって、ストーリー的にはそれも含まれてるのかなぁと思ったりして。

とりあえず、今回は地底に下りるのと人生の転落という意味を含めた題名にしてみましたが、うーん…って感じですね(-"-;)