猛暑の理由

誰も気づいていないようだが、実は日本列島は巨大な電子レンジの中にある。

この暑さはそう考えないと納得できない。

梅雨が明けて晴れ間が続くこの7月後半は、毎年空気が肌にまとわりついてくるような暑さに悩まされる時期ではあった。

しかし、こうまで暑くなったことはないのではあるまいか。

実際、ニュースでも連日記録的な暑さが報道されている。 これは間違いなく閻魔大王が癇癪を起こし、日本を電子レンジで加熱することに決めたのだ。

癇癪を起こす理由は、幾つもある。

まず第一に、富がかたよっている。一般庶民には流れてこず、ごく限られた階層の人々の懐にだけ滝のように流れ込んでいるのだ。

そのため、中小企業はもちろんのこと、世界的な大企業と言われている会社でさえ、新しい人材を雇うことや優れた技量を持つ者を正当に評価するどころか、騙まし討ちや詐欺に近いような遣り口で、弱い立場の者を解雇したり、減給したりする破目になった。

いったん定職から離れた者、求職中となった者が、ふたたび正社員になることなど夢のまた夢という状態になってしまったのだ。

第二に、政治家の金勘定が達者過ぎる。

 

……と、ここまで書いてきてさすがに疲れたな。

そして、ここまでマジメに読んで下さった方は果たしておられるのでしょうか?

きっといないと思うけど、もしおられたら誠に申しわけありませんm(_ _)m

 これ、北原 亞以子著の慶次郎シリーズ6作目 『 隅田川 』 収録の 『 かえる 』 という作品の冒頭のパスティーシュなんですf^_^;) 

 

 


 いや、最近ココロもカラダも暑さ負けで、新しい本が読めなくて既に何度も読んだ時代小説をまた読み返すことが続いておりまして、そんな中で再会( 正確に言うともう何回読んでるかわからない^^; )した北原氏の暑さの表現の上手さに感心しておったのですが、中でもこのパクらせて頂いたくだりは面白い上に現代の世情にも当てはめやすいなぁと思って、つい調子に乗ってこんなお目汚しをしてしまいましたm(_ _)m

 

ちなみに原典の冒頭の文章は 「 誰も気づいていないようだが、実は江戸の上に巨大な火鉢がかぶせられている 」 です。

このインパクト凄いですよね^^ 

それで、何とか原典のイメージに近づけたいと思ったものの現代日本だと対応するような暖房器具がなくて、つい私は調理器具を持ち出してしまったのでしたf^_^;)

 

あと、原典は永次郎という祖父の代からの貧乏浪人の独白という形式で語られていますので、その辺もちょっと違いますし、端折ったところもございます。

 

まぁ、そんなわけで慶次郎シリーズはオススメです^^ 

興味を持たれた方は、ぜひ、この猛暑の中で暑さにあえぐ江戸の人々の描写を読んでみて下さいまし^^ 

 

シリーズなので第1作から読んだ方がわかりやすいとは思うけど、一話完結で、登場人物も主要登場人物とはほとんど関係がないというパターンも多いので、途中からでも大丈夫ですよ^^ ちなみに第1作はこちら。

 

傷―慶次郎縁側日記―(新潮文庫)

◆ 傷―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

 

 

夏の暑さの描写はいくつかあるけど、印象深いのはこれかな。

 

おひで―慶次郎縁側日記―(新潮文庫)

 

◆ おひで―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

 

 

北原氏の作品は、実際に書かれている時代の問題もあるとはいえ、ある意味では全くリアリティのないオトナの男のおとぎ話って感じの池波正太郎の各シリーズと違って、やりきれない話や切ない話も多く、決着を明らかにしないまま終わる話なども多いのですが、その辺がリアルで面白いのです。

 

ただ、作者が女性のせいか主要登場人物ややたらに美男で、関係者にも妙にいい男が多いのが玉に瑕かな(^_^;) 

 

それによく考えてみたら女性陣も美女が多いんですよね。

だから単純に作者が美男美女が好きなのか、物語には美男美女が必要と思っているか、その両方であるのかもしれませんが、個人的にはちょっと引っかかる点です。

美形を出すのはいいけどそのレベルが異常に高いので、「いや、そこまでの美形がそこらにいる?」ってなっちゃうんで^^;

 

まぁ、池波氏の書く女性に比べたら人間的には全然リアルだからいいんですけどね。

美男故の災難が起こるところも面白いし。

女性の方も美女だらけではあるけど、男性作家みたいに美人じゃないけど肉感的で…とか、そのいずれでもないけど男にはたまらない魅力が( その典型は池波氏がよく書く便牽牛^^; )って人物造型よりははるかに読みやすいし。

いや、便牽牛的なキャラも物語的には面白いし、否定はしないんですけどね。