『死のゲーム』 (2006年・米)

DEATH GAME デスゲーム [DVD]

 

◆ DEATH GAME デスゲーム  (2006年・アメリカ)

 

 監督:ウィリアム・ブレント・ベル/出演:ジョン・フォスター、サマイア・アームストロング

 

評価…★★★★☆

 

<あらすじ>

ある夜、ハッチは親友のルーミスから新しい面白そうなゲームがあるので一緒にやらないかと誘いを受けるが、仕事があるため翌日を約束して電話を切る。ところがその翌日、ハッチのもとにルーミスが亡くなったという連絡が入る。しかも、彼のルームメイトたちもほぼ同時に、それぞれ別の原因で謎の死を遂げているらしい。

ショックを受けながらも、とにかく葬儀に出席したハッチは、ルーミスの妹から父母に取り上げられるからと言って、彼が持っていたゲームソフトを全て譲り渡される。その中には彼が死ぬ直前までプレイしていたらしい『 Stay Alive 』というゲームも含まれていた。ルーミスはテストプレイをしていたらしく、そのゲームは市販品ではなかった。

そのゲームに興味をもったハッチの友人兄妹らが、落ち込むハッチの気を紛らわせるためにも、みんなでそのゲームをやろうと言い出す。どうも気乗りしないハッチだが、結局はルーミスの葬儀の席で知り合ったアビゲイル(ルーミスのルームメイトの恋人だった女の子の友人)やゲーム狂の上司などにも声をかけ、総勢6人でのゲーム開始となる。

奇妙な点はいくつかあるものの、ホラー仕立てのそのゲームはなかなかよくできておりプレイは深夜まで続くが、会社からネットで参加していたハッチの上司が違うルートをとってゲームオーバーになったのをきっかけにお開きとなる。ところが、会社から帰ろうとしていた上司に忍び寄る影が…。そして、翌朝出勤したハッチは彼が帰宅せずに会社で殺されたことを知る。その死に方はゲームの中の彼のキャラクターと同じだった。

ハッチはそこで、このゲームの中のキャラクターの死がプレイヤーの死と関係があるらしいことに気付く。ルーミスも彼のルームメイトたちも奇妙な死に方だったのだ。周囲は彼の意見を一笑に付すが、やがて次の犠牲者が出るに至って彼の説を認めざるを得なくなってくる。このゲームから逃れる術はあるのか?

 

 

 

 

 

安いパッケージにありがちな設定で、正直ほとんど期待してなかったんですが、これが意外なほど面白かったです!

でも、それは私がゾンビシューティングゲームが好きだからかもしれない^^; ゲームってほとんどしないんですけど、これだけは好きでゲーセン行くたびにやってたんですよね。ちなみに体感型(銃を持って画面を撃ったりするタイプ)とタイプ練習型(キーボードへの文字入力が攻撃になる)のどっちも好きです^^; しかし、別にマニアックな設定があるわけでもないから、ゲーム好きじゃなくても理解はできるし、面白いとは思います。

 

この作品で私が高得点を与えたいのは、とにかくテンポが良いところ。始まって3分くらいでもう3人死んでるという^^;  それも無駄な殺戮ではなくてちゃんと意味があるしね。やっぱりホラー映画は90分以内だよなぁ。

で、もうひとつ高評価なのは、主要登場人物が全員それぞれ魅力的なこと。年齢設定がはっきりしないんだけど多分みんな20歳前後くらいで、男の子も女の子もかわいい。冒頭ですぐ死んじゃうルーミスすらキュート。ちなみに私の好みはオードリーです^^

 

しかし、ホラーとしてどうかなと改めて振り返ってみると、ホラーの必要条件がほとんど満たされてないことに気付いて驚きます。不安感や緊迫感、恐怖感といったものも極めて希薄だし、何よりも私が重要視するところのエロもグロもほとんどない!それなのに私がこんなに満足してるって凄いなぁ(@_@;)

 

 

※以下ネタバレ有り※

 

 

その満足感の大部分は前述の通り、テンポの良さと魅力的な役者陣、あと全体的なセンスかな。映像とかファッションとかインテリアとかが私的にはいい感じなんですよね。主人公の部屋は割とオシャレにまとめられてるんだけど、壁面に巨大な 『スチームボーイ』のポスターだかパネルだかが飾られてたりして、オタクぶりを露にしてたりするのね。うーん、世界の大友克洋だぁとか今さらながら思ったりもして、そういうのも面白かった^^;

 

内容の方では、ゲームの画面と現実がリンクしていくところも意外と面白かったです。あのゲームの絵柄は好きだしよくできてるしね。ゲームなのにルールに従わないで暴走する時があるのはちょっとどうかと思ったけど(勝手に起動したりプレイしたりするのはまだ許すけど、ゲームオーバーになってないのに殺しにくるのは反則だ!)、ゲームに操られるばかりではなくて、逆にゲームをプレイすることで現実世界での行動の助けにするというのは良かったね。

魔物を退治するのにバラを使うというのも面白い思いつきだと思った。投げつけると魔物はとりあえず逃げて、使われたバラは霧のようになって消滅するんだけど、これは絵的にもキレイだし、何より現実世界で手軽に入手できるところが素晴らしい(笑)  実際に死にキャラだと思った典型的なオタクのコはそれで助かるしね(現実世界で魔物に追い詰められて倒れこんだところがバラの茂みだったの^^;)。

ちなみにボスキャラはエリザベート・バートリー伯爵夫人(土地は違うけど設定としては、処女の血の風呂美容法で有名なあの人と思ってよいかと)ということもあって、別に怖くも何ともないし、そもそもベスがなんでこんなことしてるのかよくわからないんだが、一応黒幕は別にいるということらしいのでいいのかな。どこの誰か知らないが、悪意ある存在がこのゲームを作って、闇の力を入れるためにベスの霊を呼び出してゲームに封じ込めたか何かしたらしい。ホラーとしてはそこをちゃんと描くべき(せめてその存在や目的を暗示するとか)だと思うのだが、まぁ、面白かったからいいか。

 

あ、あとこの映画の登場人物の大半は、何故か知らないけどS・キングの登場人物ばりに背景を背負ってるんですよね。キングと違ってほとんど描写されてはいないけど。特に主人公のコの設定はそれで十分映画一本作れるヘビーなものです(父親が病的に嫉妬深くて、それが高じて母親を家ごと焼き殺してしまった。子供だった主人公はその時家にいて全てを見ていたが怖くて動けず、何とか救出されたものの、いまだにトラウマになっており(当たり前だ)、ライター程度の火でも恐怖と嫌悪を感じてしまう…というもの)。

でも、ラストで事件を解決するためにその傷を乗り越えて、ホラーに少年の成長ストーリーをプラスするのかと思ったら、火をつけるところまでは頑張ったんだけど結局自分の力では出られず、助けが来て初めて動けたから、この設定は何のために?(@_@;)って感じでした。

 

うーん、面白いといいながら結構ケチつけてるような気がしてきた…。でも、これだけの不備がありつつ面白かったと感じさせたんだから、この映画はやっぱり面白いと言っていいのではないのかしら。まぁ、私は好きですね。もう一度くらい見てもいいと思うもん。

 

 

 

(※9月末鑑賞分)