『食と薔薇の日々』 松苗 あけみ


食s絳薇の日々.gif食と薔薇の日々  松苗 あけみ (白泉社文庫) ¥740  評価…★★★☆☆ <作品紹介> 大家族で貧しく育ったが故の料理の才能と天性の舌をもつ米(まい)と、あらゆる種類の飲食店を経営する大会社の娘で、最高の美食をして育ったにも関わらず味オンチで食に愛情を持たない和菓子(わかこ)。対照的なふたりは小学校の同級生だったが、特に親しかったわけでもなく、お互いの環境が全く違うため卒業後は会うことも消息を聞くこともなかった。 ところが、勤務していたレストランが潰れ半ホームレス状態になっていた米と、父が急逝し弱冠22歳で大会社の社長になった和菓子という対照もここに極まれりという状況の下で、ふたりは偶然に再会する。そこに、同じく小学校の同級生で当時から米にぞっこんの佐分礼くんと、米が勤めていたレストランの常連でかなりの食通らしいが彼女のまかない料理の腕を高く評価する白州氏が、これまた偶然にも現われる。しかも、和菓子と白洲氏は過去にワケありらしい。 米に好感を持ってはいなかった和菓子だが、白州氏の評価を信じ、彼女を自分の会社に雇うことにする。食べることが好きな米のために、あらゆる種類の店を経験させてやるが、それらの店の売り上げをあげなければクビという条件だ。もちろん米は大喜びで承諾する。そこに佐分礼くんも加わって…。 --------------------- イタリアン、中華、スイーツ、自然食、おせち料理…といった様々な美味と米と和菓子と佐分礼くんと白州氏の恋模様や人間模様が絡んだちょっとオトナ向けの美味しいまんがです。
うわー、松苗あけみ作品読むの久しぶりー! 中高生の時にどっぷりハマったくちで、少女漫画系コミックスは全巻持ってます(が、実家にあるので多分もう廃棄されているであろう…(T_T) し、青年誌や女性誌に描くようになってからも結構ずっと追ってたんですけどねー。当時(80年代…)としては凄く斬新な少女マンガで、もろ少女マンガな絵柄とは裏腹にリアルでシニカルなオトナ向けの内容だったのです。(でも、この絵柄も当時としては結構斬新だったんですよね。だって、目に星がないんですよ(笑) あと、代表作のヒロインは三白眼だったし(爆) でも、自分がほんとにオトナになってしまうと、やっぱり所詮少女マンガかなぁって感じがしてしまうようになって、いつの間にやら遠ざかってしまっていたのでした。今回久々に手にとってみて、内容よりも何よりも、このきらびやかな絵柄を受け付けられない自分がいるのは結構ショックでしたね。少女マンガ好きでも王道はあんまり読んでないからなぁ…。最後に読んだ松苗作品は『ロマンスの王国』かなぁ?だったら15年くらい前?ひえー(゜ロ゜;) …と、まぁ、そんな状況ではありましたが、今回は食べ物マンガということで思い切って購入したわけです。で、読後は…、うーんって感じです。いや、悪くはないんですけどね。何だろうなぁ…。食べ物マンガとしては面白かったことは面白かったけど、それ以外の人間模様とかがちゃんと成立してないんですよねぇ。松苗マンガおなじみの超美人さんのリアリティの無さとかは別にいいんだけど(今回は人物造型としては結構リアルだし)、米ちゃんも全くリアルじゃないし、他の人々もねぇ。完全に絵空事として描くならそれに徹してくれればいんで、恋愛遊戯以外の愛情に関する話とかいらないんじゃないかなぁ。中途半端で感情移入しづらい。 ああ、そういう意味では食についてもちょっと中途半端な感じはするなぁ。レシピやメニューにそそられはしますけど、ダイレクトに食欲を刺激してくるところがないんですよね。絵がきれい過ぎるからでしょうか?あ、題材になる料理が上品というのもあるな。料理マンガはやっぱり青年誌かなぁ。と言っても、『美○しんぼ』とかではなく、例えば『華麗なる食卓』みたいのですね。まぁ、これは国民食とも言えるカレーが題材なのがちょっとズルイかもしれませんが(笑) でも、人間模様も浪花節と現代性と色恋を絡めて、いい感じに面白く描かれてます。 そういえば、味オンチの和菓子さんは性欲だけは旺盛のようですが、これは代替欲求なのかなぁ? 最初は求めても得られない愛情を希求するが余りの行動(これはとてもよくある話)なのかと思ってたんだけど、そうでもない感じに書かれてますよね(お相手の技術の優劣をつけたりとか)。愛情も食べ物の味もわからない人が楽しいセックスができるとはあんまり思えないんだけどなぁ。 まぁ、それはそれとして、美人で大金持ちで頑張ってて、実はいいヒトなのに報われない和菓子さんには何とか幸せになってほしいものです。自分の性格に難があるせいか愛されキャラから程遠いせいか、松苗作品ではいつも分不相応にも美人キャラに感情移入してしまう私なのでした^^;(松苗作品の美人キャラは、ほとんどが性格破綻気味でモテるけど嫌われ者で、頑張ってるけど評価されなかったり空回りだったりするんです^^;)  あ、『純クレ』の場合はみよちゃんじゃなく実子でしたけどね^^;