『THE PET 』 (2006・米)

THE PET [レンタル落ち] [DVD]

 

◆ THE PET  (2006年・アメリカ)

 

 監督:ピエール・デュラ

 出演:ピエール・デュラ、アンドレア・エドモンドソン、マギー・アヴィラ

 

 評価…★★☆☆☆

 

<あらすじ>

花屋で働くメリーは天涯孤独の身の上だ。恋人は一応いるがロクなヤツではなく、彼女の唯一の支えである飼い猫が死んだのもどうやらそいつが暴力を振るったせいらしい。家賃も払えるか払えないかというぎりぎりの生活を送っているメリーには猫の治療費は痛い出費だった。しかも、病院は全額払わないと死体を渡さないという。

そんな事情から精神的にも物質的にも追い詰められているメリーの前に、花屋の客として現われた裕福そうな紳士が援助を申し出る。下心がないわけはないだろうが今は喉から手が出るほどお金が欲しいし、何よりこの紳士は好感が持てると思ったメリーは彼の誘いに乗って自宅への招待を受けることにする。

そして、約束通り彼女の愛猫を敷地の片隅に葬ってくれた後、紳士は彼女に思いがけない提案をする。それは、ここで自分のペットとして過ごさないか? というものだった。実は彼は愛犬を失ってからずっと喪失感に悩まされており、その中で「人間をペットにすることはできないだろうか?」と思いつき、候補となる人物を探していたのだ。従って、彼の言うペットのイメージは限りなく犬に近いものだった。この突飛な申し出をメリーは意外に平静に受け止め、そして受け入れる。メリーは彼の側にいると気持ちが落ち着くことに気付いていたのだ。そして、自分の中に調教されたい欲望があることも。

最初は2日間のゲームとして始まったこの不思議な主人とペットの関係は、3日目の朝に双方の合意のもと正式な契約となる。全裸に調教用の仕掛けがある首輪だけをつけて、常に四つんばいで過ごすメリーは不思議なほど幸せそうだった。そして、それを慈しむ紳士。愛情にあふれるふたりの関係は順調だったが、そこに別の要素が介在してくる。実は人間をペットというよりは家畜のように取引する組織があり、紳士はそれに関係していたのだ。組織は上々の商品であるメリーを市場に出すように言ってくる。紳士はそれに反発するが…

 

 

 

 

 ※以下ネタバレ有り※

 

 

 

パッケージだけ見ると官能系って感じなんですが、実話を基にってところに興味をひかれて手に取り、あらすじを見てみるとこれも結構興味深い感じ(世界ではまだ奴隷制度が存在している!みたいな内容)。ということで、ハズレ(=ただのエロ)を覚悟でレンタルしてみました。まぁ、数合わせというのもありましてね^^;

 

で、結果としては、どっちつかずの微妙~な感じの映画でした(*_*)

最初から最期まで裸のねーちゃんが出てるので、エロとして見ようと思えば見れるかもしれないですが、服を着る習慣のない人が着ていないのと同じ感じで、本人達に羞恥心がなく自然なので全然いやらしくはないんですよね。メリーが資産家のペットになるのを決めるところまではちょっとエロティックな感じがある(レストランの床に座ってデザートを食べさせてもらうシーンとか)んですが、ペットとして扱われて人間性を剥奪されてしまう(具体的には言葉を発してはいけない、勝手に動いてはいけない等々)とそういうのが全く無くなっちゃうんですね。

剥奪された側に羞恥心や抵抗感とかあればまた違うんでしょうけど、これが不思議なくらいにないし。あと、同じ動物扱いでも家畜のように手荒に扱われたりすれば、そこにまた別のエロスが存在するかもしれない(そういう趣味の人にはね^^; )けど、メリーの場合は完全に愛玩動物扱いなのでそういうのも全くないのですね。むしろ見ていてほのぼのしてしまいましたよ。

 

そして、奴隷とか人身売買という部分を期待して見ると、これがまた全然食い足りない。

メリーのご主人様がそういう組織に関係しているらしいことはわかるんですが、そんなに詳細には描かれてないんですね。組織はどういうメンバーで構成されいて、どのように運営しているのかとか全く謎。どうやらお金持や裏世界系の人がメンバーらしいことぐらいはわかるけど、そんなの当たり前のことだしねぇ。焼印捺したりとか全然どうでもいいし(てゆーか、現実には商品に傷つけるようなことしないんじゃないかなぁ)、作中の入札制は凄く嘘っぽいし、どんな人でも簡単に奴隷にできる的なことを謳っているけど、そのテクニックは全く明らかにされてないし。奴隷調達の手段やルートも明確じゃないしなぁ。驚くべき真実を暴く!的なことを言うのであれば、こういうところに触れてくれないとねぇ。

あと、この作中では臓器が目的の人身売買がメインな感じなんですが、それだと奴隷とは違いますよね。人に用はなくてパーツに用があるわけだから。

 

そんなこんなで色々と納得できない感じだったのでした。しかも、メリーちゃん無意味に死んじゃうし(-"-;)  あれはまさに犬死にだよ。犬役だからってひどすぎるわ。ご主人様もバカ過ぎ。気付けよ。

 

ラストの方で、世界各国における奴隷状況(受け入れ側、送り出し側、その用途など。ちょっと一貫性ないけど)を字幕で出してくれるのは面白かったけど、ああいうジャーナリスティックな部分は隠れ蓑なのかね?でも、隠れ蓑にするほど問題のある内容でもないしなぁ。よくわからないわ。こんな中途半端にせずにどっちかに徹して作ればいいのに。

ちなみに日本は受け入れ国なんだそうです。送り出しも結構ありそうに思えるんですが判断基準がよくわからないですからね…。

 

 

 

(10月鑑賞分)