『イニシエーション・ラブ』 乾 くるみ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

◆ イニシエーション・ラブ (文春文庫) 乾 くるみ ¥599  

 

 評価…★★★☆☆

 

<内容紹介> 僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説……と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。(文庫裏表紙紹介文)

 

あらすじを自分で書かなかったのはその構成が複雑で書けなかった…とかでは全くなく、単に労力を惜しんだからです。つまりそれほどの価値はないってこと。ちなみに私は読み返してません。でも、読み物としてはそれなりに面白かったし、先入観無しに読めば、まぁ及第点だろうということで星は三つです。

 


※以下ネタバレ有り

 

 

まぁ、例によってのジャケ買いなんですね。惹句買いというべきか?ちなみに「評判通りの仰天作。必ず二回読みたくなる小説などそうそうあるものじゃない (読売新聞書評より」。 本って必ず再読する人(私はこっち)とそうでない人がいるから、その分け方はちょっと…と思わないでもないけど、まぁ、そこまで言うならと思いますよねぇ?(^^;)  それと題名もちょっと魅力的だったし。

そんなわけで恋愛小説や青春小説の大嫌いな私が我慢して読んだわけです。この世界をどうやって転換してくれるのだろうという期待に満ちて。そして辿り着いた驚愕のラストはというと、「え、これが?」と逆に驚愕してしまうシロモノでありました。

一組のカップルのことを書いているように思わせておいて、実は一人の女・マユを挟んで二人の鈴木たっくんが存在していた。ようするにマユがうまいこと二股かけてたというわけ。あからさまでベタなオチじゃん。読んでてすぐわかったよ。あとミステリでもないよね?広告に偽り有り過ぎないか?感情移入できないタイプのガキどもの下らん色恋沙汰を延々読まされてあげくにこれかよ。

……と、キレてみたけど、実は恋愛部分もそれなりには面白かった。ここは一応フォローしとこう。私の場合は作中人物と同世代(バブル期に大学生)である、セックス描写が意外としっかりしてる、嫌いなタイプの人達の言動が逆に面白かった……などが面白く読めた理由ですが、文章も読みやすいし一般的な人には普通に面白いんじゃないでしょうか。むしろ恋愛小説として読んだ方がよかったりして。一応みんな幸せで終わるけど、その幸せの裏には何が潜んでいるのかわからないんだよ、みたいなね。

しかし、相手の名前を間違って呼ぶ可能性があるから、二股の相手は同じ名前の男にするって凄い発想だよな。彼女はその条件をクリアし、かつ好いたらしい男に出会うまで合コンをし続けるつもりだったのかしら?まぁ、よくある名前だからできることだけど。 あ、もしかして本命がよくある名前だったのも最初から計算!?だったら脱帽だわ(@_@;)

……と、今はたと気づいたが、このオチがバレバレだと思うのは私が歳経た女だからなのか?バカな男や純朴な乙女が読むとこれは驚愕のラストなのか?そうか、そういうことはあるのかもしれない……。 まぁ、その辺の事情はともかくとして、再読派の私だが本書はきっと二度と読み返すことはないと思う。