『オールナイトロングR』 (2001年・日本)

オールナイトロングR [DVD]

オールナイトロングR [DVD](2001年・日本)

 監督:村松克弥/出演:福薗由布樹、宮前希依 他

 評価…★★★★☆


※※※ パッケージ写真で見当がつくかと思いますが、これはエログロの鬼畜映画です。一応R−15ですが、私は15歳にこれを見せるべきではないと思います。そんな映画なので、今回はあらすじもオープンにするのは控えます。以下はそういう内容でも大丈夫な方だけお読み下さい。※※※




<あらすじ>
中学生時代のひどいイジメによりひきこもりになったユウキは、自宅にこもって怪しげな医学実験とPCやインターネットでの遊びに熱中していた。理科系の両親の血を継いだのか、幼少時から彼は医学や科学の分野に興味を持ち、その知識は相当なものだった。両親の仕事の関係で薬物や医療器具に関する知識も得やすく、父が亡くなり高額の保険金がある今、彼の部屋はちょっとした研究室並だった。

そこで彼は小動物を解剖したり、遺伝子操作でフリークスを造ったりという遊びに耽っていたが、身体的には健康な男子である彼の欲望は当然異性にも向いていた。ひきこもりである彼の欲望の対象はネットアイドルだった。無防備にもWEBカメラで自宅の様子を公開するひとりのネットアイドルにユウキは執着していた。
と言っても、勿論それはHPにアクセスしたりメールを送ったり、彼女をモデルに画像を作って趣味の身体改造を行ったりというレベルだった。

しかし、ある日の出来事が彼の夢想を現実に変える。ネットアイドルの公開画像に彼女の住所を特定できるものが写ったのだ。ユウキはそこから彼女の住所を突き止め、部屋の前で待ち伏せする。数時間待ち続けて諦めかけた時に彼女の部屋から人影が。しかし、それは彼女ではなく若い男だった。
自分勝手に作り上げていたイメージで、無垢な存在だと思い込んでいた憧れのネットアイドルの裏切りにユウキの狂気は爆発する。そして……


・・・・・・・・・・・・


いやー、ほんっとサイテーの映画ですよ。鬼畜映画というのにふさわしく、悪趣味極まりなく、しかもグロくて俗悪。どうして、これがR−15で通ったのかと声を大にして言いたい。
……とか言うような映画を見てしまう自分、しかもそれを面白いと思ってしまう自分がとても嫌です(-"-;)
しかも、私はこのシリーズ、1〜3まできっちり見てますからね。どれも最低最悪でしたが大変面白うございました。って、何だコイツですね、我ながら(-"-;)

あ、エロ要素は比較的少なめだと思いますが、これは感じ方に個人差があるからなぁ。女性の裸はそこそこ出ます。また、血糊とフリークス的なグロはかなりありますが、暴力やその他加虐シーンはほとんどありません。

※ここから更に鬼畜度が上がります。映画も鬼畜なら私の感想も鬼畜です。そういう趣味のない方は、まだ間に合うので引き返して下さいm(_ _)m※


※以下ネタバレ有り※



まぁ、とにかく悪趣味。シリーズ第一作は悪趣味ながらも、他の方向にも訴えかけるものがあった(その分、後味はめちゃくちゃ悪い)のですが、これはもう何にもない。強いて言えば、ネットに個人情報をさらすのはやめようねという教訓があるくらいでしょうか(笑)
妄想とグロ、ゴアだらけで、しかも確実にふざけて作ってると思うんだよね。出会い系でゲットした女の子との妄想を見た時は思わず声をあげて笑ってしまいましたもの。ほんと大笑いしました^^; (しかし、こんな映画を見て笑っているところを人に見られたら、取り返しのつかないことになるよな…)

妄想じゃない部分にしても、おっぱい(正確には乳房)3つ造るってどうよ?意図がどうであれ、これを見た者は笑うしかないでしょう(笑) 
まぁ、とにかく科学的な考証とか全く考えてないしねー。一応、拒絶反応が!とかいうシーンはあるんだけど、これが唐突過ぎて逆に笑える。そもそも、マウスに人間の耳植えてる時点で有り得ないじゃん。自宅で細胞培養や遺伝子操作云々はまぁいいけど、各パーツの細胞とって培養したらそこから各パーツが独立して発生するってさぁ…。いや、話としては面白いけどね^^;
しかし、そうだとしてもおっぱいが一人前になるまでの時間が短すぎはしないかなぁ(爆) シャーレとかでなく、人体に植えてからだったら、それなりの時間がかかると思うのだけど。
あと、パーツが独立して発生する説を採るのならば、爆乳ちゃんからとった細胞は貧乳ちゃんに植えても爆乳になるのではないの?土壌が痩せててもせめて巨乳くらいにはなって然るべきでしょう。

もひとつ、この細胞ネタでいうと、いじめっ子が押し入ってきたのを逆にやっつけて、性器を切り取って 「 この細胞はなかったんだ 」 ってほくそ笑むシーンがあるんですが、細胞だけなら自分からも採取できるのでは?
それと、あの器官を機能させるには他の様々な要素が必要だから、細胞があればそのパーツを発生させられる説を採るとしても飾りにしかなんないよぉ? まぁ、ユウキくんは不能っぽいからそれでいいのかもしんないけどさ。

しかし、この作品はこのテのものにしては不思議なくらい俳優陣のルックスのレベルが高いんですよね。
まず主演であるユウキくん。妄想中で「 ユウキは結構イケてるよ 」みたいなことを言われるんですが、ほんとにイケてるって。出会い系サイトの釣り用に合成した画像よりユウキくん本人の方が絶対にかわいい。あー、考えてみれば、この悪趣味な映画をさほど気色悪いと思って見ずにいられたのはユウキくんのルックスに拠るところが大きいかも。
で、女優陣。最初の犠牲になるネットアイドルのレイカさん。顔はぼちぼちですが、とにかく爆乳!で、大きさの割にはかなりの美乳。ちょっとぽっちゃりめですが、スタイルも悪くはない。
二番目の出会い系の彼女はとにかく美人。スリムなので残念ながら貧乳ですが、それもまた良し(笑)ちょっと色黒かなぁと思うけど、あんなひどい役(いたぶられるわ、乳は3つになるわ、腐る手前くらいの死体になるわ…。しかも、登場シーンほとんどずっと半裸だし)を引き受けてくれる女優さんにはもったいないくらいのルックスです。
でも、時代背景が違うとは言え、あんな上玉は出会い系にはいないだろう。いたら美人局かキャバ嬢の営業だと思うけど。まぁ、仮にいたとしても初回で相手の家には絶対行かねーよ。

しかし、せっかく女のコのレベルが高いのに下着が全く色気がない( スポーツ用みたいなどこに売ってるのかよくわからんような代物 )のは興を殺いだねぇ(-_-#)
撮影上の都合からくるのだろうけど、その気になれば色々テはあると思うのだが。例えば、水泳用のアンダーショーツ着用して上からキレイな下着をつけるとかさ。どうせ中身まで見せないんだからわからないよ。

てゆーか、レイカさんはすぐ殺し過ぎだよね。せっかくのダイナマイトボディをもっと鑑賞させて欲しかったわ。いたぶりもほとんどないんで、今までの作品で期待していた加虐趣味の方々はさぞ残念だったことでしょう。
でも、ユウキくんは加工前の容れ物にはあんまり興味ないようだから仕方ないのか。腹をかっさばいて初めて凄く嬉しそうにしてたもんな。
でも、内臓をつかみ出して「 面白いよ、レイカさん! 」とか言っていたが、腹に内臓があるのは別に普通だろう。「 面白い 」=「 楽しい 」くらいの意味で言ってたのかな?いずれにしても、このシーンは工夫がないし、あっさりし過ぎだと思う。

でも、このレイカさん殺しのきっかけになった男が実はレイカさんの実兄だったってのはちょっと驚きましたね。勘違いとしてはすごいベタではあるけど^^; 
で、それに気付いたユウキはどうするんだろうと思ってちょっと期待して見てた( ショックで更に壊れちゃうのかなぁとか )のに、次の瞬間には出会い系サイトに反応した女のコたちからのメールが来たのに気をとられてすっかり忘れてたのには全くがっかりでした(-"-;)
結局、あの勘違いがあろうがなかろうが殺す気だったのだろうな。道具用意してたし。要はそこまでの過程で責めるかやさしくするかの違いだけだったのかしら。

あと、どうでもいいけどいじめっ子くんの設定に何かとムリがある。
父親の保険金があるからユウキくんから金を引き出せると思うのはいいけど、いくら何でも全額( 数千万円 )絞り取れるわけがないだろう。仮にユウキくん名義の貯金が相当額あるとしても普通の親なら彼には引き出せないように設定してあるよ。生かさず殺さず少しずつ引っ張ればいいのにバカだなぁ。至急に大金が必要なわけでもあったのか?それにしても、自分の口座に振り込ませたら悪事がバレバレだろう。悪事の際の金銭の受け渡しはいつもニコニコ現金払いじゃないと(笑)
それと、どう見ても脳みそがカケラ程度しかないような少年なのに、何故かユウキくんのメアドを突き止めた上に気の利いたメールを送って寄越すんだよね。画面上ドクロマークが飛び回り、それが炎上して「 殺す 」とかいうセリフが出るような仕掛けがあるヤツ。絶対有り得ないー。しかも、時代は2001年でしょう?ああいうタイプはPCも持ってないんじゃないか?
もし、ほんとにあれだけのスキルがあるんなら、ボウガン持ってお宅訪問( 襲撃ともいう )なんかせずにもっとアタマ使えばいいのに。


まぁ、そんなこんなで物凄く色々ムリがある設定で、笑っちゃうところも多数なのですが、所詮そんな話なので、まぁいいかって感じですな。ユウキくんは妄想彼女との心の触れ合いや何かで、いじめを克服して新たな理想体作りの野望に燃えるという実に前向きなラストになっているし、めでたしめでたしでいいんじゃないすかね。このシリーズでこんな終わり方って初めてじゃないかな?

もちろん、いくら私でも、決して本当にめでたしめでたしとは思っていないですが、今までのに比べると比較的後味が悪くない気がするんですよね。残酷描写が少ないからかしら?
あ、あと女のコたちにほとんど人格が感じられないからか。レイカさんにしても出会い系のコにしても、リアルな人間として描かれてないもんね。出会い系のコの場合は結構しゃべったりしてるけど、どこまではユウキの妄想かわかんないし。
まぁ、そもそも全くリアリティない話だからなぁ。ある種のAVだと思えばいいのかもしれないですね。
でも、だったらR−18にしろと言いたい。こんなもんガキに見せちゃダメだよ。
(お前も見てんじゃねぇとか、その上ブログにだらだら感想まで書いてんじゃねぇというようなご批判もあるかと思いますが…。全くごもっともですm(_ _)m )




(10月鑑賞分)