『 88ミニッツ 』 ( 2007・米 )

◆ 88ミニッツ  ( 2007年・アメリカ )

 監督:ジョン・アヴネット

 出演:アル・パチーノアリシア・ウィット、エイミー・ブレネマン、リーリー・ソビエスキー、ニール・マクドノー 他

 評価…★★★☆☆

     

<あらすじ>

ジャック・グラムは高名な精神科医で、数々の異常犯罪の犯人の精神分析をこなし、大学での授業も受け持っていた。

そんな彼が手がけた事件のひとつである連続女性強姦殺人事件の犯人への死刑執行が近づいてきたある日、彼の教え子である女子大生が異常な殺され方をするという事件が起きる。そして、当局にはグラムと事件にかかわりがあるとしか思えない被害者を使ったビデオテープが送りつけられ、グラムの携帯電話には 「 お前の命はあと88分だ 」という予告電話が入る。

それからグラムの周りには次々と事件が起こり始めるが、そういう目線で見れば彼の周囲は怪しい人物ばかりだ。本来なら最も信頼する相手であるべき秘書や助手の女性にも何かしら疑わしい点があるし、様々な経歴をもっている教え子はなおさらだ。疑心暗鬼になりながらも犯人を捜し、この事態を打破しようとするグラムだが、そんな彼に教え子殺害の容疑がかかる。

自由に動けない上に誰も信用できない状況の中、タイムリミットは刻一刻と迫ってくる。グラムは果たして生き延びることができるのか?そして、犯人の目的は?


※以下ネタバレ有り※

面白いし、比較的よくできてるとは思うんだけど、アル・パチーノが何か余計。無駄に存在感があり過ぎる。もっとB級に徹して作ってくれた方が面白かったんじゃないかなぁという気がします。

まぁ、若干ムリはあるけど、さほど不自然でないストーリー展開だし、サービスは全然ないけどグラムを取り巻く美女軍団は豪華だしで、なかなか楽しかったですよ。そこそこ緊迫感もあるしね。でも、どう考えてもリーリー・ソビエスキー( =ローレン )が犯人だろ!って感じなのと、彼女がフォースターに心酔する経緯がよくわかんなかったところがいまいちでした。あと、別に変装とかしてるわけでもないのに彼女がフォースターの担当弁護士であることに誰も気付かないのか不審で仕方がなかった。あんな若くて美人で、しかも、凶悪犯に感情移入気味な弁護士なんて、一度見たら忘れないだろう。ああ、それにしても、リーリー・ソビエスキーの輪郭削りてぇ…。

ちなみにタイトルであり、グラムの残り時間として提示された 「 88分 」 とは何を意味するかというと、かつてグラムの妹を惨殺した犯人が彼に言い放ったセリフ、 「 88分かかったよ。88分かけて切り刻んでやったよ 」( 大意 )から来ているらしいのですね。ちなみにグラムの鑑定で有罪になったのを逆恨みしての犯行らしい。見てる時は 「 ほほぅ! 」と感心したけど、今思うとそこまで込み入った設定じゃなくてもよかったんじゃないかという気もしますね。つーか、16歳年下の妹って設定がちょっとどうかと思います。

登場人物それぞれに妙に物語があるのは全員を疑わしく思わせるために仕方ないことなのだけど、ちょっと煩雑。それにそれだけやっても、やっぱりローレンがずば抜けて怪しいんだもん。

それに、この作品は多分、限られた時間と条件の中でいかにして謎を解き、生き延びるのかというところに主眼がおかれているのだとは思うのだけど、私はどちらかと言えば、フォースターやグラムの妹を殺した犯人の手口や心理、そして、ローレン(本名は違うが忘れた)のような女性が何故彼に魅入られて、いかにして、あのような犯行を手際よくやり遂げるまでになったのかということの方に興味があるんで、どうも物足りなさが残ってしまうのですよね。まぁ、これは完全に私の側の問題ですが。