『 綾とりで天の川 』 丸谷 才一

綾とりで天の川  丸谷 才一 ( 文春文庫 ) \660

 評価…★★★★☆

     

<作品紹介>

膨大な知識とそれに裏打ちされた凡人には思いがけない発想、そして、独特のとぼけたユーモア感覚に彩られた様々な話題を旧かな遣いなのに軽快な独特の名文で綴った随筆集。

福澤諭吉がミイラになって発見されたという世間には知られてない衝撃の事実から始まる 『 ミイラの研究 』 、 誰もが名前は知っているけど詳細は意外と知らないギネスブックにまつわるあれこれを紹介した 『 ギネスブックの半世紀 』 、 のんきな話ばかりが入っている『 徒然草 』を、中高校の教科書に必ず載っているような重要な古典として扱う日本文化の面白さという意外な視点から語り起こし、さらに意外な話へと展開する 『 吉田兼好論 』 、 主としてネアンデルタール人について語りながら、同時にH・G・ウェルズゴールディングらの作品など小説世界にも触れ、更には肉食から麺類の起源の話にまで及ぶ 『 生のものと火にかけたもの 』 など全16篇を収録。


まぁ、私などが多くを語る必要もない、おなじみ丸谷随筆ですね(笑)  相変わらず軽妙な文章でありながら物凄い情報量で、読むのに時間かかるの何のって。

しかし、丸谷随筆は凄まじい派生読書欲を呼び起こすのに、紹介されている本のほとんどが専門書や高価な本などで、そう簡単にお目にかかれないところが実に罪作りですよねぇ(T_T)

紹介文で書ききれなかったものでは、丸谷氏お得意のイギリス話と食べ物話の 『 牛肉と自由 』 、 コナン・ドイルが驚くべき美遜一族の家系だった( 父方の祖父が有名な政治漫画家で、父親の兄弟3人も全員画家 )ことからホームズ作品のある・について考察した 『 シャーロック・ホームズの家系 』 、ライト兄弟スミソニアンの知られざる確執( 私が知らなかっただけ? )と、その和解に至る意外な経緯を描いた 『 自転車屋の兄弟の伝記作者 』 などが面白かったですね。

あ、私は全く興味がないのですが、『 野球いろは歌留多 』 は今までにない形式で、関係データまで紹介されてたりして力も入っているようなので、野球がお好きな方には大変面白いのかもしれません。

( 10月読了分 )