『 カット 』 ( 2008・米 )

◆ カット ( 2008年・アメリカ )

 監督:フランクリン・ゲレーロ・Jr

 出演:マット・カーモディ、ニール・キューバス、ウルスラ・タハリアン、エリック・フォンズ 他

 評価…★★☆☆☆

     

<あらすじ>

ブライアンは大学生の兄・ピートに誘われて森へキャンプに出かけるが、連れがウマの合わないザックとレイチェルのカップルということで少々不機嫌だった。ピートは優等生の人気者タイプで、ブライアンは内気なオタクタイプだが、ザックらは下品で無神経なお調子者なのだ。

4人は途中にあるドライブインのような店で合流するが、店は古くて不潔で、店主も少々不気味な感じで、しかも、店主の弟らしい大男が保安官に連行されるところを見てしまう。早々に立ち去ろうとした彼らを店主が呼び止める。営業に必要な荷物を少し離れた森の中にある小屋から取ってきて欲しいというのだ。

係わり合いになりたくない4人は断ろうとするが、店主は足が悪く自分では取りに行けないし、いつも行ってくれる弟は連れて行かれたし、礼はするからと懸命に頼み込む。そして、その礼が今夜一晩店で飲み放題という条件にまで上がった時、渋っていた4人もつい承諾してしまう。

そして、途中、森の中で一緒にキャンプに来た友人とはぐれてふてくされていたケイトと出会い、行動を共にすることにする。そして、辿り着いた小屋で映写機と映画らしいフィルムをザックが見つけ、休憩を兼ねて飲み食いしながら皆で鑑賞し始める。

よくあるポルノか、それともホラーか?とはしゃぎながら見始めた彼らだったが、ろくなストーリーもなく残虐でリアルな殺人シーンが延々と続くその作品にケイトとピートはうんざりし途中で見るのをやめ、ブライアンは本物のスナッフフィルムではないかとの不審を抱く。

もちろん、ブライアンの意見を誰も真面目にとりあってはくれないが、ピートも嫌な感じだけは抱いていた。しかし、とにかく荷物を持って店へ戻らなければならない。戻った彼らを店主は約束通り飲み放題で歓待してくれるが…。

アメリカで実際に起こった惨殺事件を基にした作品。


うーん、ジャンル映画としては悪くないとは思うんですよね。残虐シーンは結構なモノだし、不気味さもスリルもそこそこある。でも、私はちょっと好きじゃないなぁ…。だって、全体的に汚いんですもの(T_T) その辺が気にならないホラーファンは結構高評価をするのではないかと思います。

※以下ネタバレ有り※

私、血糊や臓物系の汚さは全然いいのですが、排泄物やその他の汚物は全くNGなんですよねぇ…。なので、冒頭のトイレのシーン ( これはごく普通のシーンです )からもうアウトでした(-"-;) その後のトイレでの汚物にまみれた殺しのシーンなんてもう最悪ですよ(>_<)

ここで最も見せ場であるはずの性器切り取り( 破壊? )と思しきシーンがモザイクだらけで全くわかんないし、ほんと不快なだけでした。

それと、実話が基ということでリアルさを出そうとしてるのか、全編にわたって画面が暗いのも嫌です。こういう映画はストーリーじゃなくて映像重視でしょ。こっちは残虐シーンが見たいんだからちゃんと見せろよって感じ。

で、ストーリーはまぁ、ありきたりな田舎の異常者の恐怖って感じですよね。まぁ、被害者側が全員死ぬ ( しかし、だったら何故発覚したのだろう?他の事件でバレたのかな? )というのと、そのうちのひとりはせっかく助かりかけてたのに何故か狂乱して自殺してしまうというのはちょっと目新しいかな。でも、確実に脱ぎ要因だと思ったコが脱がず、映画内映画以外では全くと言っていいほどサービスシーンがなかったのは、このテの映画としては大いに減点ですね。

それぞれに何だか物語あり気なのに殆ど描かれないのもこのテの映画ではよくあることなんですが、ここまで何にも描かないんだったら何も設定しなくてもよかったのにという感じはしました。

あと、作中でケイトが唐突かつ無意味に 「 癒しとしてのホラー 」 みたいな話をするのが相当に減点です。 その主張自体には凄く共感するのですが、登場人物にセリフとして言わせちゃダメだろうよ(-"-;) 興ざめにも程がある。

それに、ケイトは登場の仕方とか言動がちょっと不自然だったので疑いの目で見ていた私は、ここであんなこと言うからには彼女は犯人グループのひとりだなとすっかり期待しちゃいましたよ。実際は大変がっかりな展開なのですが。あのくだりほんといらない(-"-#)

ほんと、ケイトが犯人側とか店の客がみんなグルだったとか言うのがあったら、これかなり面白かったのになぁ。そしたら、映画を撮るような趣味があるとはとても思えない兄弟ふたりが本格的な機器をそろえてスナッフフィルムを撮っていたということも納得できるしね。この点、『 モーテル 』は良かったなぁ。

ラストで迂闊なブライアンくんが記念にだか何だか、自分たちを撮影したスナッフフィルムを見始め、そこで初めて「 殺人者である男以外に撮影者がいるということは仲間がいるんだ! 」 と最初から誰もがわかっていたようなことに気付いて慌て始めた時には、「 あ、ケイトは違ったけど誰かここで意外な人物が現れるのかな? 」とわずかに期待したものの、これも全く誰もがわかっていた通り店主が出てきたので、もう本当にがっかりでした(T_T) まぁ、実話だって言うんなら仕方ないけどさぁ。しかし、ほんとに実話なのかね?場所や年代、犠牲者数等の詳細が全く語られてないけど。