『 ブラックサイト 』 ( 2008・米 )

◆ ブラックサイト ( 2008年・アメリカ )

監督:グレゴリー・ホブリット/ 出演:ダイアン・レインビリー・バーク、コリン・ハンクス 他

 評価…★★★☆☆

     

<あらすじ>

FBIのサイパー犯罪捜査官・ジェニファーは、ある日様々なサイトをチェックしている際に猫を虐待するライブ画像を流しているサイトに気付く。『 killwithme.com 』 という名のそのサイトは、情報を流して閲覧者を募り、その数が画面にカウントされ、サイトの構成にも反映される造りになっているようだった。

調査の結果その猫は行方不明になったいた飼い猫で、そのサイトの管理者が罪を犯していることは確かなのだが、大掛かりなネット上での詐欺など様々なIT犯罪が行われている現在では、そのくらいは取るにたらないことだとして上司には他の仕事をするように命じられるが、ジェニファーはそのサイトが妙に気になっていた。

彼女の嫌な予感は当たり、そのサイトで次に公開されたのは殺人のライブ映像だった。それも、管理人が実際に手を下すわけではなく、サイトの閲覧者数カウンターに連動して被害者に薬品を注入するという仕組みでの殺人だ。つまり、サイト名通り 「 みんなで一緒に殺そう 」 というわけだ。

ジェニファーら捜査官は全力を尽くして捜査し対策を練るが、数々の闇サイトと同様に巧妙に管理者を隠蔽して作られており、ロシアのサーバーを使用しIPアドレスも簡単に変更できる仕組みを作っているため、強制的に閉鎖することも不可能だった。

この事件の犠牲者のむごたらしい遺体が発見された頃、ネット上には次の被害者が公開されていた。当局はサイトへのアクセスの自粛を呼びかけるが、自分の興味本位のアクセスがひとりの人間を死に至らしめるということが実感として伝わらないのか、殺人映像を見たい人々が多いのか、アクセス数は前回をはるかに上回る勢いで増加していく…。

被害者はアトランダムに選ばれているように見えるが、彼らを結ぶ糸はあるのだろうか? そして、犯人の目的は一体何なのか?単なる快楽殺人者か、それとも…?

ジェニファーらは必死で捜査を進め、手がかりをつかみかけるが、それと同時に犯人の魔の手は彼女たちの周辺へと伸びて来る。


ふつうによく出来た作品じゃないですかね。突っ込みたいところが全くないではないけど、テンポもよく、見所はきちんとあるし、問題提起もされているし。

ただ、インターネットやマスコミ、そして悪意の無い一般の人々の考えのない行動の恐ろしさというものを描くには処刑方法がムダにグロ過ぎる。いや、個人的にはキライじゃないんですがね^^; でも、この問題を真面目に語ろうとするのであれば、ああいう行き過ぎた表現は邪魔になるように思います。そういう意味では犯人の描き方も微妙かな。

あと、主役がダイアン・レインなのはどうかなぁ…。合ってないわけじゃないんですけど、ちょっと歳が行きすぎではないかしら…。

※以下ネタバレ有り※

で、突っ込まないと言ったけど、ここからは恒例の突っ込みです^^;

全体に浅い感じで、特にインターネットやIT技術を駆使した攻防って感じが全くないところなどは不満ではあるのですが、まぁ良しとしましょう。誰が見ても面白い作品にするにはむしろその方が良いのでしょうし。父親の自殺映像をTVで放映され、それが更にネット上で流されたことに怒った青年が犯人という設定も、まぁ、いいでしょう。ちょっとムリがあるけど心を病んでたって設定にもなっているし。しかし、それにしても、彼の実際の犯罪行為あれこれはムリがあり過ぎないですかね?

まぁ、殺人装置を作るところまでは何とか許容してもいいけど、大の男を拉致したり、他人の家を使ったり、遺体を他人の車のトランクに入れたりとか、そんなに簡単にできないでしょう。あと、父親の件に無関係のジェニファーらを標的にするのはおかしい。ポリシーなさ過ぎ。余り役に立ってないとは言え、ネット上の犯罪などを取り締まるサイバー捜査官は自分の側の人間でしょう。ジャマになるからって殺すようじゃあ君に正義はないよ。あと個人的にはネット住民の悪質さ無神経さなどを憎んでるのにヤツらを満足させるようなネタを与えるのはどうかと思うなぁ。それを利用して自分は実際には手を下さないようにするというのはなかなかの着想なんだけど、実際に人を殺す手助けをした連中は多分1ミクロンも反省せず、むしろ喜ぶだけだと思うんだよね。

で、犠牲になるジェニファーの同僚もジェニファー自身もうかつ過ぎ。いくら普段現場に出ないサイバー犯罪捜査官とは言え、訓練を受けたFBI捜査官でしょう?あんな簡単に罠にひっかった上につかまんなよ(-"-;)

そして、ラストが何か唐突過ぎ。ジェニファーが犯人を殺して終わるんですが、せっかく重いテーマを扱ってるわけだから、もう少しそこに言及して終わるか、せめて後日談とか挿入して欲しかったな。