『 ビョーキ! 』 ( 2006・米 )

◆ Sicko シッコ ( 2006年・アメリカ )

監督:マイケル・ムーア/ 出演:マイケル・ムーア

 評価…★★★★★

     

<作品紹介>

数々の問題作で知られるマイケル・ムーアの米国の医療問題を題材にしたドキュメンタリー。

米国には日本のような国民健康保険は存在せず、多くの人々は民間の保険に加入している。しかし、それら民間保険会社は利益のみを追求し、被保険者にできる限り保険金がおりないようにするばかりか、医療行為自体を受けさせないようにするような状況となっている。このような事態を招くに至った理由と現状の問題点を、医療制度の充実した他国(主に欧州諸国)の状況と対比しながら露にしていく。


本来私がそんなに好むジャンルではないのですが、予想外に面白かったです。作品として云々というより情報量に感心。世の中にはまだまだ私の知らないことがたくさんあるのだなぁと改めて思い知らされました。まぁ、米国の医療保険制度の問題点とか欧州諸国の社会保障の充実ぶりとかは何となく知ってはいたのですが、具体例付きで詳細情報を列挙されるとインパクトが全然違いますね。まさに百聞は一見に如かずです。今までの作品と違って、万人に関わりがあり、万人がそれなりの興味があるであろうテーマだというのも注目に値しますね。

相変わらずのムーア流って感じの造りがちょっと鼻につかないではないけど、内容はとにかく面白いです。まぁ、ムーア作品に限らずこのテの作品は、編集が入っている時点でドキュメントと言っても完全な真実では有り得ず、事実を基にしたフィクションと言う方がふさわしいということを踏まえた上で見るべきなんでしょうね。

欧州だけでなくキューバなどでも非常に充実した医療保障があることや、米国の恐るべき保険業界の実態についてなど、語りだしたら物凄く長くなるし、きちんと語れるほどの知識もないので、これは是非見て下さいとしか言えないですね。

日本の保険制度は米国ほどひどくないけど、欧州には遠く及ばないんですが、重病や重傷を負うことなく普通に組織に属して働いてる限りはまぁ、さほど不満でないんですよね。でも、この不安定なご時勢で、職を失い、重病を得たら?と考えると怖くなります。米国と違って、保険がらみで医療機関が受け入れてくれないということはない(はず)ので、適正な治療を受けられず命を失うことはないでしょうけど、その後生きていけないということは十分に有り得るのですよね。以前から思っていましたが消費税率がはね上がってもいい( 光熱費、食材費等は無税にすべきですが )から、ここは何とかするべきじゃないですかねぇ…。

ちなみに、原題 『 Sicko 』 は、精神病とか狂人といった意味らしいので、ちょっと古いですが、ああいう記事題名にしてみました^^;