『 変人村 』 (2005・仏)

◆ 変人村 (2005年・フランス)  監督:キム・シャピロン  出演:ヴァンサン・カッセル、オリヴィエ・バーテレミーロクサーヌ・メスキダ 他 評価…★★★☆☆ <あらすじ> クリスマス・イヴの夜、クラブに遊びに来たバート、ラジ、タイの3人組。黒人のラジは店の従業員のヤスミンと、アジア系のタイはダンスフロアで目立っていた美少女エーヴとそれぞれいい雰囲気になっていたが、バートはふられっ放しでヤケになって女の子に絡んだあげく、従業員にビンで頭を殴られて叩き出される。タイとラジはバートを追って店を出てきてはくれたものの、それぞれエーヴとヤスミンを伴っている。ケガは痛いしパートナーはいないしで、ふてくされるバートだが、女の子ふたりは思いのほか彼にやさしくしてくれる。気をよくしたバートは幸運を期待して、「 これから皆で家に来ない? 」というエーヴの申し出にのることにする。これからに期待満々のラジとタイは言うまでもない。 途中で店を荒らして食べ物を調達し、音楽をガンガン鳴らした車でみんな盛り上がっていたものの、郊外だとは言っていたが彼女の家は相当に遠い。途中で眠ったりして近くまで到着した時には完全に夜が明けており、車はヤギに囲まれていた。それはエーヴの家のヤギらしい。そこにいた使用人だという男・ジョセフの奇妙な外見と言動にたじろぎつつもエーヴの家へと向かう一同。そこは、温室などもあり、ちょっとしたお屋敷とも言える造りだが、両親も誰もおらず、人形屋だという父親の商品の在庫やパーツが家中にあり何となく奇妙な雰囲気だ。 そして、家に戻ってきたジョセフの言動は相変わらず奇妙だし、ジョセフの姪だという色情狂めいた女の子をはじめ出くわす連中もどこか奇妙だ。気味悪く思いつつも、こんな遠くまで来てただ帰るわけにもいかないバートたちは、その場の状況に応じてそれなりに楽しもうとするが、また夜が来て、次々と気味の悪いことが起こり始める。そして…
んー、 『 変態村 』 も 『 変態男 』 もそこそこ楽しく見た ( 見るなよ… ) が、これはどうもなぁ…。タイトルと内容が一致していないのはご同様なのだが、どうも色々と中途半端な感じなんだよね。部分的には見るべきところもあるのだけど、それぞれがちゃんとつながってないというか。 ※以下ネタバレ有り※ …と思って、メイキングを見てみると、この監督は評価の高い映像作家ではあるけど、長編映画としてはこれが初監督作品なんですね。なるほどねぇ。そんな感じだわ。 ヴァンサン・カッセル演じるジョセフの迫力は物凄い ( 特殊メイクの効果もあり男前の原型を全く留めてません(@_@;) けど、話はデタラメですねぇ。もう何がなんだかです。 ホラーにおいてはデタラメにはデタラメなりの良さがあったりするんだけど、この場合はちょっとそれとも違うんだよね。 原題が 『 SHEITAN 』 ( フランス語で悪魔のことらしい ) というのがなければジョセフとその一家 ( 多分、エーヴも、ヤバい感じのメガネ少年もみんなジョセフの血縁者 〔 てゆーか子供? 〕 なんだよね ) が悪魔崇拝らしいことも作品を見る限りではよくわかりません。クリスマス・イヴにそれとは関係なく盛り場で浮かれ騒いでる若者たちを犠牲者に選び、クリスマスに決行しようとした点や、神や悪魔について語る様、イタズラだか嫌がらせだかで大量のバッタを用いるところなどから見て、むしろ歪んだキリスト教信者なのかと思っちゃいましたね。 オチもなんかはっきりしないし、一番見せたかったのは何なの?って感じです。ジョセフが物凄くいい味出してただけにあのラスト ( オーラスだけでなく、そこに至るあれこれ 〔 妻の顔とか… 〕も含めて ) は残念。ホラーとしては見るべき点はないですね。 ゴア的描写は何故か動物ばっかで不快でしかないし。 ああ、ジョセフは見る価値がある気持ち悪さかもしれないけど、私はああいうのは好きじゃないです。 サスペンスとしてもいまいちですねー。別にハラハラドキドキとかしないんだよね。お決まりの展開だし、登場人物がみなゲス野郎で感情移入できないし。 あ、ヤスミンちゃんだけはかわいそうだけど、まぁ、彼女もバカ女だからなぁ…。ラジなんかのどこがいいんだ。しかも、彼女持ちってわかってんのに。あと、ついでに言うと3人登場するべっぴんさんの中でヤスミンちゃんだけは何も見せてくんないしね。一番かわいいエーヴはあんなにサービスしてくれるのに。 そう、この作品はロクサーヌ・メスキダ演じるエーヴのおかげで凄く救われています。もう、彼女がとにかく魅力的で! 基本的には少女っぽさを残したかわいらしい容姿なんだけど、スタイルが良くて、状況に応じてセクシーさも出せるんですよね。 赤いニット着てニット帽かぶって、子ヤギを抱いてニコニコしてる様はめちゃめちゃキュートだった^^  前夜にクラブで、ミニスカの下から赤いショーツをちらつかせてセクシーに踊ってたのと同一人物とは思えなかったですよ。 あ、もちろんその姿もサイコーでしたけど^^;  正直、彼女を見てれば話なんかどうでもよかったですわ^^; ……すいません、また私に中のオヤジが現れてましたm(_ _)m アイツが出てくると話が横滑りしてしまっていけませんね。映画内容に話を戻しましょう。 そんなこんなで、結局のところ、ジョセフが妻=妹との間に産まれる子供に捧げる(?)人形をつくるためのパーツが欲しくて、その材料になる人間を漁りにかわいいエーヴが街に出たみたいなんですね。で、ジョセフはもっとも大事なパーツである目の持ち主としてバートに目をつけて、それでゲイと見まごうばかりに彼に絡み付いてたと。で、最後には無事に子供も産まれて人形もできて、ジョセフ一家は幸せいっぱいめでたしめでたし。眼球を取られたバートは隣でうめいてますが、彼がその後どうなるかは不明。 ちなみに、ラジは多分逃げのびるんだろうけど、助手席のタイは既に死んでるっぽかったなぁ。パニック状態だったヤスミンは行方不明だけど、道路の近くにいたし、死にはしないだろう。 おお、こうしてみると犠牲者少ないですね。ラジとヤスミンはケガもしてないし、タイは運が悪かっただけって感じだし、ほんとに人形のパーツが欲しかっただけで後はどうでもよくて、秘密保持とかも全く考えてないという素朴な感じが好感が持てますね( 持てないって ) 。 あと、家に暴れこんできた近所の若者たちは、多分全く無関係なただのバカな無法者。ジョセフ一家以外の住人があいつらしかいないんだったら確かに変人村かもしれないが詳細は不明。てゆーか、そんだけしか人数いなかったら村じゃねぇ。 全体的にムダな感じのエピソードやシーンが多い映画なんですが、中でもどうかと思ったのはバートとタイのエロ話のくだりですね。 モテ男らしいタイ ( 窪塚洋介似 ) が上の口と下の口の形状は相関関係がある的なことを言うと、バートがそうとも言い切れないと言って、去年ナンパしてコマした女のコの話を始めるわけですが… なんだ、ありゃ(-"-;) わざわざ回想シーン撮ってまで語る話か? まぁ、女性蔑視感が非常によく出ていますけど、そんなに押さなくてもヤツらが最低レベルのゲス野郎だってのは既に充分伝わってるんだがな。エロオヤジが心に住んでる私ではありますが、あれには不快感しか感じなかったです。 不快といえば、ジョセフがヤスミンの褐色の肌をラクダ色だなって言って、その後「 ラクダちゃん 」と言うのも不快だったなぁ。もっと他に喩えるものがあるだろう(-"-;) それで思い出したが、この映画は何故に各色 ( 白、黄、黒 =アフリカ系 、褐色= 多分アラブ系 ) 取り揃えた人物設定なんだろう? 2色 ( 白、黒 or 白、黄 ) ってのはよくあるというか、アメリカ映画ではむしろパターンだけどヨーロッパ映画では珍しい気がする。何か意図があるのかな? ま、そんな感じなので、 『 変態村 』 を見て、ああいうのを期待して見ようと思った人 ( あ、私は違いますよ。これは断っておかないと^^; これは何と言うか物凄い作品なんですよ…。ある意味ユーロホラーの傑作です )はがっかりでしょうね。 タイトルはよく似てますが趣もレベルも全く違います。 まぁ、そもそも「 変人 」 と「 変態 」は全く違うもんだけどね。 そういう意味ではこのタイトルは意外と適切かも^^; ちなみに、ホラーの定番として、「 田舎の恐怖 」 ( 『 2000人の狂人 』等 ) とか 「 恐怖の家族 」 ( 『 悪魔のいけにえ 』、 『 マーダー・ライド・ショー 』 等。 これ系は多いですね ) と言ったものがありまして、アメリカ映画だと舞台は大抵テキサスになって流れも似たり寄ったりなんですけど、ヨーロッパだとどうなんでしょう?   私のイメージでは、いずれも宗教的な理由からおかしくなってて ( 村など共同体全体がおかしいときは大抵はそうですけどね。 『 呪い村 436 』 とか 『 ウィッカーマン 』 とかね )、 そのせいもあって展開は悪夢みたいな感じ。 場所は山村が多い気がするけど、何かの事情で寂れた町とか、小国というパターンもあるような。うーむ、さすがヨーロッパは多様だ。 ちなみに、本作の場合は 「 田舎の恐怖 」 と 「 恐怖の家族 」 の双方の要素を持ちつつも、そのどちらでもないって感じなんですよね。 最初の展開は 『 ホステル 』 風味だけど、途中からユーロホラーらしく悪夢っぽくなってくるし。ラスト近くで一瞬まさかの夢オチ!?と思わせてくれたのにはちょっとびっくりしたけど(笑) ああ、ホラー映画について語ってると、言いたいことが多すぎて文章がまとまらなくなるなぁ(*_*) 私はオタ系じゃないので、本来は余り語るタイプじゃないはずなんですけどねぇ。 周囲に同好の士がいないから鬱憤が溜まっているのかしら…。 というわけで、いつにも増して破綻してますが、この辺で切り上げることにします m(_ _)m