『 ホーリー・マウンテン 』(1973年・墨/米)

◆ ホーリー・マウンテン (1973年・メキシコ/アメリカ)

 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー

 出演:ホラシオ・サリナス、アレハンドロ・ホドロフスキー

 評価…★★★☆☆

<あらすじ>

盗賊である青年が砂漠で十字架に磔にされている。その姿はまるでキリストのようだ。やがて、何とかして十字架から逃れた青年は、途中で出逢った腕のない小人と共に街へと向かう。様々な人々で賑わう街の風景は奇妙で幻想的だ。目的なくさ迷う青年は、やがて錬金術師の男と出会い、占星術により選ばれた大工場主、兵器会社の社長、戦争玩具の製造者、警視総監、建築家など様々な職業の男女8人と共に「聖なる山」へ向けて旅立つことになる。様々な苦難を経て、彼らはその山の山頂へと辿り着くが…。


見逃してる名作を見てみようシリーズ(笑)

その筋では物凄く有名なカルトムービーですね。しかし、こういう映画ってあらすじも感想もあんまり書けないっすよね…。

※以下ネタバレ有り※

まぁ、これはオトナになってから見て良かったかも。バカなガキの時に見ると変にハマっちゃいそうだもん。でも、本作はキリスト教がらみの要素が非常に多く、かつ重要な部分を占めていると思われるので、この作品を見て、我々が受けるショックとキリスト教圏の人々の受けるショックは物凄く隔たりがあるのでしょうねぇ。しかし、全くそういう素養のない私が見ても、「おい、これ、いいのか!?」って映像頻出なんですけど、公開当時(34年前!)は大丈夫だったのでしょうか?

あと、今見てもすっごいお金かかってる感じがするんですけど、制作費はいかほどだったのでしょうか?そして、それは回収できたのでしょうか??? 意味があるのかないのかわからないような( いや、全部そんな感じなんですけど… )エピソードとかにも凄いセットが作られていて、完全に独特の世界が作られてたりするんですよね。適正に刺激してあげると変形する機械とかもやたら大きい上に複雑な造りだったし。

( この機械、面白いので補足説明しときます。 人間を性的に刺激するのと同じような方法で上手に刺激してあげると機械がエクスタシーのようなものに達するらしいんですね。で、結果的に変形するのです。そして、人間と同じく、刺激する人が上手だとすぐに変形するし、下手だといくらやっても反応しない。ちょっと試してみたいですよね^^;)

うーん、まぁ、ともかく面白かったことは面白かったですね。意味はわからないけど凄い映像の嵐で、その映像自体も俳優も美しいし、奇想あふれるイメージも面白い。前半は本当に息を飲むようなシーンの連続で感心致しました。特にカエルとカメレオンに衣装をつけての戦争シーンみたいなのは本当に衝撃的でした。

そして、これでもかとばかりに幻想、奇想に満ちた映像を見せ付けておいて、突然、物語が現実へと移行するラストもなかなかよろしかったです。驚いたことに文字通り現実世界になっちゃうんですよ。錬金術師)が突然 「 これは映画だ!カメラひけ! 」 みたいなことを言い出して、スタッフやセットが映し出されて、それがオチなのです。これも当時としては甚だ新鮮なオチだったのではないでしょうか。34年後の私は「ほほぅ!そう来たか!」って感じでしたけど、感心はしましたね。

錬金術師(ちなみに、この人は本当に監督でもある)以外の師に選ばれし9人の男女は、そこで衝撃をうけている様子だったので、単に作りものだと言う舞台裏を曝して物語世界を破壊して終わりということではなくて、何らかの意味を持たせているのでしょうね。実は世界は偽りだったとか、自分が真実だと思って疑いもしていなかったものが真実ではなかったとか、新しい世界に生まれ変わったのだとか。…と、らしくもなく分析してしまいましたが、私は物語の裏の意味を読み取るのは得意じゃない(し、余り興味もない。物事を深く考えるのは得手じゃない)ので誤読かもしれませんが。

(07.12月鑑賞分)