『デッド・フライト』 (2007・米)

デッド・フライト (2007年・アメリカ)

 監督:スコット・トーマス

 出演:デヴィッド・チザム、クリステン・ケール、ケヴィン・J・オコナー

評価…★★★☆☆

<あらすじ>

ロサンゼルス発パリ行のジャンボジェット機は、犯罪者と護送担当の刑事、有名プロゴルファーとその妻など、いつものように様々な乗客を乗せ空港を飛び立ったが、その日はいつもと違うとことがふたつあった。かなりの悪天候と、貨物室にある護衛付きの特殊コンテナとそれを持ち込んだ科学者たちだ。クルーたちは彼らの不穏な空気と中身も知らされていない貨物が気がかりではあるが、悪天候の中の飛行の対応で手一杯だった。

そんな中、乱気流による激しい衝撃が機体を襲う。慌てて貨物室を見に行く科学者たちだが、時既におそく貨物室には惨劇が始まっていた。実はコンテナの中には特殊なウィルスに感染した女性が眠らせれて収められていたのだ。そのウィルスとは本来は臓器を蘇生させることが目的で作られたもので、感染者は一旦死亡し、その後細胞だけが再生する。つまりある種のゾンビになるのだ。そして、そのウィルスはもちろん感染者との接触によって感染する。目覚めるなり銃を向けられた女性は本能的に相手に襲い掛かった。そして、感染した人々も次々とゾンビになっていく。

悪天候のため満足な飛行もできない状態で、内部にはゾンビが増え続ける。二重のパニックの中で何とか状況がわかってきたクルーと乗客数名は力を合わせて何とか生き延びようとするが…。

--------------------

飛行機の中でゾンビって、何このあからさまな二匹目のドジョウ狙い!と思いつつ、まんまとひっかかって借りましたよ^^; ここまであからさまだとある意味清々しいし、何よりゾンビ好きだし(笑)


※以下ネタバレ有り※

で、当然こちらとしては『スネーク・フライト』的なものを期待して見始めるのですが、これが意外や意外。ずいぶんとマジメな作りなんですね。おふざけもお色気もなく(前者はともかく後者に関しては激しく不満(`3´) 正統派パニックものって感じ。その割にはゾンビになる理由がちゃんと説明されてないのが難点ですが。

しかし、ゾンビが大勢で活動し始めてからは俄然面白くなり、まぁ細かいことはいいかって気になります(笑) 最初のゾンビ(貨物として積まれていた女性)が動き始めた時は、「えー、しけてんなぁ」って感じだったんですが数が増えてからは、おふざけも結構あって面白いんですよ。 アメリカの飛行機の構造がよくわからないのですが、二階の床下から現われるゾンビ、そして床下に犠牲者を引きずり込むゾンビは凄く面白かった^^

個体によって強度や感染力に差がある( 銃で一発撃たれただけで動かなくなるヤツもいれば、何発撃たれても元気だったり、下半身ふっとんでも動いてたりするし、噛まれて即ゾンビ化する人もいれば、噛まれたはずなのにゾンビ化しない人もいるという… )のがちょっと気になるけど、そこはほらウィルスだからさって言われれば、まぁ納得かなという程度^^;

最近のゾンビ映画はゾンビのルールとか気にしてたら見てられないからねぇ。いや、掟破りも面白くて好きなんだが、そこに一貫性とか妥当性が欲しいのよね。まぁ、マニアックな話はおいときましょう。

ただ、登場人物の皆さんが相当に考えなし( ゾンビに襲われかけてる夫を見て、無謀にも特に技能もない身一つで助けに行こうとした妻を止める男に「行かせてあげて!」とかわけのわかんないことを言う女とか )な上に、皆して機内で銃をガンガン(シャレではなく^^; )撃ちまくるわ、スプレーに引火させて爆発を起こすわの無軌道ぶりで、それはさすがにちょっとどうかと思いましたね。ただでさえ、嵐の中で飛行機危ない状態だってのに。この点だけ言えば『スネーク~』の方がずいぶんマシ(笑)

で、この映画の場合はパニックもののひとつのパターンとして、事態を隠蔽かつ終息させようとする当局が出てきて飛行機を撃ち落すとかいう話になるのです。そこで、生存者がいたら撃墜をやめようとかいう話があるのがちょっとリアルじゃないけど。ウィルスのことを考えたら、生存者の有無に関わりなく迷わずこの世から飛行機ごと消滅させるべきだと私でも思うし、アメリカは絶対そうすると思うけどね。まあ、それはともかく、そういう理由で軍用機が撃墜しに向かってくるわけなんですが、そのタイミングで機内で結構な騒ぎが起こって大穴が開く(単にドアを開けたのかな?)のね。で、機内から椅子ごとゾンビがぶっとんできて正面衝突。あわれ軍用機は大破。このくだりには喝采したね^^ 最初からこのくらいふざけて作ってくれればいいのにと思ったけど対比の妙を狙ったのかなぁ? それはちょっと違うよねぇ。

そんなわけで、『スネーク~』同様にパイロットを失った機体をちょっと知識のある程度の素人とその補佐が何とか無事着陸させて、生き残りの人々は何とか助かって (でも、ふたり噛まれてるよなぁ…) めでたしめでたし…と思わせておいて、一緒に墜落したゾンビたちが集まって動き始める映像でラストはほんとにお約束で、それはそれで好感が持てます(笑) 個人的には下半身なくなったのに手で結構なスピードで歩くゾンビがツボ^^; 名作『フリークス』を彷彿とさせます。

しかし、マジメに考えると、着陸以前にも機体に穴が開いた時にゾンビがあちこちに散らばってるし(前述の通り個体差があるので砕けてなければ動けるヤツはいるはず。それに体液によるウィルス感染だから動かないゾンビやその残骸からでも感染する可能性は充分にあるはず)、最後に動きだしたゾンビとあわせるとかなりヤバい事態が起こるんじゃない?って感じなんですが、続編はちょっと作りづらい話だしなぁ。

まぁ、ゾンビものとしてはなかなか面白かったんじゃないかしら。そう、最初はジャンルミックスだと思ったんだけど、ゾンビが出た時点でホラーにしかなり得ないのよね^^; これは誤算でした。まぁ、だからどうだってこともないけど。私基準で言うとエロもグロも全く足りない(特にエロはほんとに全くない!脚が見えるか見えないか程度ですよ。江戸時代じゃないんだからさ(`ヘ´) けど、それでも面白く見られたのでこれは合格点でしょう。ただし、前半はかなりつまらないです。

ちなみに今回も題名は和訳なし。何故ならば「 dead 」に二重の意味が含まれてるかもしれないと思ったからです。 (「死体」とか「死の」のといった意味のほかに「行き止まり」的な意味があったりとかするのかなぁと。「dead end」とちょっと韻踏んでる感あるし。考えすぎ?)

(※9月下旬鑑賞分)