『蛇飛行』(2006年・米)

スネーク・フライト (2006年・アメリカ)

 監督:デイヴィッド・エリス

 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ジュリアナ・マーグリーズ、ネイサン・フィリップス他

 評価…★★★★☆

<あらすじ>

ごく普通の青年であるショーンは、ある日偶然に凶悪なマフィアであるキムが検事を惨殺しているのを目撃してしまう。目撃者がいたことに気付いたキムは、すぐさまショーンの存在をつきとめ彼を消そうとするが、間一髪FBI捜査官が現われショーンを救う。キムは極悪非道のマフィアであるが、巧妙に立ち回り全く尻尾をつかませないため、当局は何とかして彼を捕まえようと躍起になっているところだったのだ。

キムの犯罪を暴くための貴重な証人となったショーンは、ハワイからロサンゼルスへ飛んで裁判所で自分の目撃した殺人事件について証言することになる。ショーンは彼を救い、かつ証言をするように説得したFBI捜査官フリンと共にロサンゼルス行きの飛行機に乗り込む。安全を期してアーストクラスを借り切ってのフライトだ。しかし、そこにもキムの魔の手は伸びていた。ここで証言されてしまったら何もかもおしまいになるキムは、手段を選ばずショーンの乗った飛行機を墜落させようとしていたのだ。ただし、自分の手が下されたことが明確にはわからないように事故を装って。その手段として使われたのは何と数千匹の毒蛇だった!


いやぁー、噂には聞いてましたが、まぁ、何とも見事なバカ映画でしたね! B級魂ここに極まれり!(褒めてます^^;)

「パニック物もいい加減出尽くしたよなぁ。何かいいネタない?」

「新しいネタったら、新種のモンスターとかウィルスとかになるよなぁ」

「うーん、そういうのって限界あんじゃん。それ系で完全に新しいの思いつけるような才能あったら、もっといい映画作るよなぁ」

「言えてる。あ、あわせ技ってどうよ?パニック物のジャンルミックス!」

「お、それいいね!天変地異ものと動物ものとか、そういうことだろ?」

「そうそう。でも、あんまり大掛かりなの作れないから…、乗り物系は?船とか飛行機とかさ」

「あー、飛行機は基本的に恐怖感あるしリアルでいいよなぁ。となると、あとは動物でリアルに怖い…、蛇ってどう?」

「飛行機に大蛇はムリだろ…」

「いや、数で勝負だよ!あと、毒!逃げ場のない飛行機に大量の毒ヘビって良くね?」

「あ、いいねぇ!パイロットが咬まれて墜落しそうになったりして。ヘビで死ぬか墜落で死ぬか、みたいな」

「それだよ!」

……というような企画会議があったのではないかと思ってしまいました。少なくともこれを見てる私の頭の中では行われました^^; でも、実際そういう安易な発想で作られたに違いない。

そんな風に思わずにはいられない程、この映画は実にわかりやすく下品な作りになっているんです(笑)

まず、ヘビの最初の被害者は定石通り無軌道にセックスするバカップル。座席で盛り上がっちゃったので個室を求めてトイレにやってきた若者ふたり。ある意味パニックの全ての原因がこいつらでもある。(ハッパを吸うために警報機を外すか何かして天井に穴が開いたので、そこからヘビが出入りを始め、活発に動き出した…と思われる。多分)もちろん、そういうシーンなんでサービスも充分ですよ^^ で、男には用がないからさっさと始末したヘビくんは、おねえちゃんの方はいきなり仕留めず、むき出しのたわわな胸の先端にかぶりつく。その瞬間の映像自体は映ってないけど、めっちゃ痛そう…(T_T)

次の犠牲者は本来の用を足しに来た青年。このテの犠牲者にありがちな無意味なテンションの高さが来るべき悲劇を予感させます^^; そんな彼を見つめる視線。それはトイレの排水口から顔を出してるヘビくん。……もう、予想つきますよね?そうです、青年はムスコさんに正面からかぶりつかれるのです。ひー(>_<)

その後も、床を這いずってるヘビくんたちに気付かない乗客たちの危機一髪ぶりを見せたり、居眠りしてるデブのおばさんのワンピースの裾から上に向かって入っていくヘビくんとそれに反応しちゃってるおばさんの様子を見せたり、もう下品とお約束の連発。後半はもう何でもありありだけど、最初の方は今言った通り、胸だの局部だの目だの、最も嫌だと思わせるようなところばかりに噛み付いてくれます。ヘビくんたち実にいい仕事ぶりです^^

ちなみに、本来そんな攻撃的ではないはずのヘビたちが何故人を見るなり咬み付くのかというと、フェロモンで興奮状態にしているかららしいです。にしても、そりゃあないだろって感じなんですが、まぁ、そういうことにいちいち突っ込んでたらB級以下ホラーの類は成立しないですからね^^;

しかし、嫌な金持ちがやられるシーンはお約束だけど、その直前にそいつの手により犬が犠牲にされるのはちょっとないよなぁと思いました(T_T) でも、そいつの「この状況なら皆こうしたはずだ!」というセリフには頷けないではない。やはり生き延びることが優先ですものね。犬好きとしては別の意見もあるが現実的ではないからね…。

それにしても、アメリカの飛行機ってペットの持込は本当にあんな状態なんでしょうか?ちょっとどうかと思うが。

その他、細かいおふざけはたくさんあるし、ヘビを駆逐するために飛行機内で発砲して穴を開けちゃうFBI捜査官(絶対有り得ない!)とかゲーム好きが飛行機を操縦してうまいこと着陸する(これはないとは言い切れない)ラストとかストーリーもふざけきってますが、まぁ、パニックシーンが愉快だったらどうでもいいよね(笑) むしろ、そこまで徹底してふざけてくれた方がこっちもすっきりする。

でも、この作品、ふざけてはいますが、ヘビは結構リアルに怖いです。ヘビ嫌いの人はダメかもしれないけど、爬虫類好きの私はそういう意味でも楽しかったですね^^ 単純に同一種の毒蛇が大量に出てくるのかと思ったら、多種多様なヘビが出てくるんですよ。作中ではそれ故の問題(血清の不足や何か)が発生したりもして大変なんですけどね。そこまで問題を複雑にしなくてもと見てて思いはしましたが、そのくだりも結構面白いです。

でも、中盤で大蛇クラスのヤツ(ボア?アナコンダ?パイソン?ニシキヘビ?…マニアではないので、さすがに咄嗟に見分けはつかない(*_*) でも、どれも無毒でおとなしいヘビだよね)がガラスを割って落ちてきた時にはほんとに大笑いしてしまいました^^;  パニック映画の最も盛り上がってるところで爆笑したのは初めてだよ^^;

あ、私はそんな感じで面白がって見てたけど、ヘビがらみの部分も飛行機がらみの部分も、緊張感があるところはあって、パニック物としてもちゃんと楽しめますよ。念のため^^;

あと個人的には、パニック映画につきものの変なラブストーリーが展開されなかったのも高評価^^; 電話番号交換で終わるのよ。リアルでいいわ(笑) そう、この事件の元凶とも言えるショーンくんと番号交換した、いかにもアタマ空っぽでお色気だけみたいなタイプのCAの女のコが実は非常に仕事熱心な人だったのも良かった。我が身を危険にさらしても乗客を救いに行こうとするんだよー。その容姿ならかわいいだけでいいのに、いいヤツ(>_<)

まぁ、そんなこんなで非常に面白い映画でした。私は大満足^^  でも、二番煎じだとここまで面白くないだろうな。…と言いつつ新たなジャンルミックスが見たいような気もする^^;