『図解 さかな料理指南』 本山 憲司

図解 さかな料理指南 本山 憲司 (新潮文庫) ¥420

 評価…★★★★☆

<内容紹介>

北海道生まれのイラストレーターで焚き火の達人でもある筆者が、図解入りでわかりやすく様々な種類の魚の様々な調理法を紹介。アウトドア用魚料理や、すぐ作れる酒の肴、意表をつくアイディア料理に本格的なイタリアンまでシンプルにわかりやすく書かれている。巻末においしい魚図鑑もついた魚好きにおすすめの一冊。


実は私、料理本がめっぽう好きでして。料理本といってもオールカラー写真入りみたいのではなくて、『壇流クッキング』(古いなぁ…)のように随筆形式で読み物としても充分に面白く書かれているのが好きです。

何しろ食い意地がはっているので食べ物のことを書いてある文章を読むのがとっても好きなんですね。いわゆるグルメ本的なものはちょっと遠慮したいんですけど、ふつうに作家さんが「あれを食ったこれを食った。どこそこの何が好き」って書いてるようなのは好き。内田百間(この字じゃないのに本来の字だと文字化けする(;_;)の『御馳走帖』とかたまんないっすね。小泉武夫先生の寄食・珍食系とかも好きですが^^;

で、当然食材そのものについて書いてある本も好きなんですが、食材に関してだけは図版(ただし手書きの絵に限る)が入ってるのが好きなんですよねー。料理は想像で「あー、うまそうー」とか思えるけど、食材はそのものを知らない場合があるし。まぁ、単に食材を描いた絵が好きなんですけど(笑)

しかも私は大層な魚喰いときている。そんな私にこの本は実にたまんなかったです。文章が短いのがちょっと物足りないけど、文章自体にはそんなに魅力があるわけでもないので、これで適正なのかな。絵は魚がかわいく且つ美味そうでいい感じです。

ちなみに、作り方はすごくシンプルに書いてるけど意外と手間のかかるものもあったりする。題名の『料理指南』と裏表紙にある「さかな料理は、簡単、手軽が、美味いの秘訣」を読んで、料理経験の余りない人が簡単な男の料理本とか思って実用書にしようと思うとちょっと難があるかも。そもそも魚さばくのって、そう難しくはないけど手間はそこそこかかるよー。手軽とは言えないっしょ。あと、集合住宅に住んでてゴミ処理機がない人は生ゴミの処理的にも厳しいよね。…というのは単に私のグチか(笑)

というわけで、とても良かったのですが読み返すかと言ったらちょっと疑問かな。前述の通り文章自体にはあんまり魅力がないので、「あれの作り方ってどうだっけ?」とか「あの魚なんてったっけ?」みたいな実用書的な再読しかしない気がする…。

でも、魚好きには一読の価値はあると思いまする。