『 検屍官 アイ・オブ・ザ・デッド 』 ( 2006・英 )

◆ 検屍官 アイ・オブ・ザ・デッド ( 2006年・イギリス )

 監督:デイヴィッド・フェアマン

 出演:ジェフ・フェイヒー、ブルース・ペイン、キム・トムソン、マーティン・コーヴ、

     ジェラルディン・アレクサンダー 他

 評価…★★☆☆☆

     

<あらすじ>

舞台はイギリスのとある閑静な町。ここでは今、残虐な連続猟奇殺人が起こっていた。被害者は全て若い女性で、共通点は両方の眼球をえぐりとられていることと激しい拷問の跡があることだった。地元警察に加えて、アメリカからやり手の刑事や心理分析官が派遣され、共同で捜査に励むが、手がかりは乏しく犠牲者は増える一方だった。

検死官マレーは8ヶ月前に妻を事故で失った痛手から回復したばかりだったが、次々と運び込まれる犠牲者の検死に追われていた。そんなある日、彼に奇妙なことが起こり始める。最初はパソコンに表示された 「 助けて 」のメッセージ、次には曇った窓ガラスに書かれた犠牲者の名前、そして、ついには彼は犯行現場らしき情景を夢に見始める。

妻を失ってからのマレーは、仕事以外では基本的に一人で過ごしているし、酒に逃げることも多いため記憶のない夜も多い。しかも、犠牲者の中には彼の顔見知りの女性もいた。それらの状況証拠や、犯行に用いられていた手袋がマレーのも使用している医療用のものだったことなどから、警察はマレーを疑い始め、マレー自身も自分の行動に不安を覚え始める。果たして事件の真相は?


※以下ネタバレ有り※

「 一時期のブームは去ったとは言え、「 検屍官 」 ってつけときゃ、そこそこ客ひっかかんじゃね? 一応みんな主人公は検死官だからウソじゃないし、シリーズ物的な感じで、適当に副題付けていっちゃえ、いっちゃえ! 」 という感じで、出されたのではないかと推察されるアルバトロス ( 正確には発売元のニューセレクトの仕業かな? )の検屍官シリーズ ( ? ) 第3弾です^^;

これが今までで一番、本筋に検屍官関係ねぇ~って作品ですね(笑) 設定的には主人公が事件に近い位置にいることすら必要ない感じで、正直誰でもいいんじゃないかと思われます。犯人が市販されてる医療用手袋使ってたからってダイレクトに医者を疑うっていう設定は、このご時勢では逆にムリがある感じだし、まぁ、何もかもすっ飛ばして言えば、これ最終的には幽霊モノなんですもの( 笑 ) 主人公が危なくなったら妻の霊が助けてくれるぐらいはまだいいけど、最終的に真犯人を被害者たちの霊が協力して殺しちゃうしね^^; 凄い古典的な怪談話です。題名も副題も何の関係もない。ちなみに副題は多分、被害者の眼球が抉り取られていたところから適当につけたものと思われます。

まぁ、そういう何とびっくりな展開ではありますが、面白くないことはないんですよ。俳優さんたちはそこそこ芸達者だし、グロ要素もそこそこあるし。でも、ストーリーよりも何よりも、登場人物が年寄り過ぎるんですよねぇー。30代後半ぐらいの設定なのかなとは思うけど、見た目は40代後半ぐらい。被害者役の女性すら設定はともかく見た目は中年で、 唯一20代に見えるのは最後の被害者の秘書のみというヒドさ。そのせいか、夫に病的に嫉妬する妻、それに反発して浮気する夫…という設定もさほど生きてるように思えないんですよね。更に言えば、夫は妻の死後も結構モテてるんですが、何故モテてるのか全くわからない。冴えないおっさんだし、仕事は医者じゃなくて検屍官だし。昔の恋人=心理分析官もキレイではあるけどババアだし。アメリカから来た粗野な刑事とか傲慢な病理学者がセクハラめいた言動をしたところで、いや、バアさんだし別にいいじゃんみたいな気分になる ( こういうのもセクハラ発言か?^^; )。

で、この話の眼目はやはり、「 主人公は犯人なのか? 」 ってことなんでしょうけど、まぁ、どう考えても犯人じゃないだろうがよって誰しも思っちゃいますよね。怪しく見せといて違うんだなぁって言うことが非常にわかりやすく描かれているので、思い惑う余地がないんです。ってゆーか、逆に警察がこんな薄弱な根拠で身内とも言える人物を犯人扱いすることの方が不思議。まぁ、アメリカ野郎だからという言い訳はあるんでしょうけど。

まぁ、いずれにしろ主人公は犯人じゃないということはわかっているので、それ以外で真犯人は?と考えると、もう候補はひとりしかいないんですよね。そもそも登場人物少なめではあるんですけど、どう考えても犯人は司祭でしか有り得ないんですよ。最初は主人公の上司もちょっと怪しいかなと思ったんですが、彼の場合は眼を抉る動機がないんですね。 まぁ、「 女の眼が俺を狂わせるんだ! 」 みたいな話にすれば誰でもいいと言えばいいんですが、より説得力がある、そして、動機云々を別としても衝撃度が高いし、主人公だけでなく彼の妻にも親しい相手だったという点などを考えると司祭しかいないんですよ。この謎解き的な部分をもう少し捻ってくれてたら、もう少し面白かったのではないかと思いますが、まぁ、いずれにしてもトンデモ系だからなぁ…。

そういえば、被害者に全く共通点がないということだったけど、司祭はどうやら告解で目をつけていたようなので、そこから手繰ることはできたんじゃないかと思うんですけどね。別に司祭を疑わずとも同じ教会に通ってる男だとかさ。警察怠慢ー! …とB級映画にこんな文句をつけるのはやめましょう^^;