『 ドラッグストア・カウボーイ 』 ( 1989・米 )

◆ ドラッグストア・カウボーイ ( 1989年・アメリカ )

 監督:ガス・ヴァン・サント

 出演:マット・ディロン、ケリー・リンチ、ジェームズ・レマーヘザー・グラハム

    ウィリアム・S・バロウズ

 評価…★★★☆☆

     

<あらすじ>

舞台は1971年、オレゴン州ポートランド。ボブと妻のダイアンは10代の時からの麻薬常用者で、26歳になる今も定職にもつかず、仲間と組んでドラッグストアを荒らして薬と金を手に入れるという生活を続けていた。今の相棒は少し年下の青年リックと彼の恋人ナディーンだ。自称22歳だが未成年ではないかと思われるナディーンは、結構役には立つが、少女らしくわがままだったり不注意だったりするところがあり、少々手を焼いていた。

そんなある日、ナディーンがボブの悪いジンクスにひっかかるような言動をしてボブの機嫌を損ねてしまい、更にその後の仕事でもヘマをしてしまう。完全にボブに見捨てられたと思ったナディーンは、情緒不安定になり、リックに対して今までの不満を爆発させたりと問題行動をとる。そんな彼女を留守番に置いて他の3人は新たな仕事に出て行くが、仕事は今までにない不首尾に終わり、その間に留守宅ではとんでもない事件が起きていた。

この事件をきっかけにボブの心境に変化が訪れ、仲間たちとも亀裂が入っていく。そして、ボブの選んだ道は…。


※以下ネタバレ有り※

若かりしヘザー・グラハムを見たくて、ふと借りてしまいました^^; まぁ、期待した以上でも以下でもない作品でしたね。中毒にまではなってない麻薬常用者で犯罪者であり、それを完全に肯定している若者たちの日常を淡々と描いた作品です。

ナディーンが過剰摂取で死んでしまうのは予測された展開ですが、それを機にボブが足を洗おうと思うのはわかるようなわからないような。まぁ、その感じがリアルと言えばリアル。いい歳して、いつまでもバカもやってられないし…とか思う瞬間が人にはあるものなのですよね。でも、ボブとダイアンは26歳のチンピラにしては妙に落ち着いてるように思います。日本人に比べると外見が大人っぽく見えるというのを別にしても、しゃべり方も落ち着いてるし、何となく風格がある。ああいう生活をしている人はある意味悟っているからなのかしら。冒頭のボブのナレーションもある種の哲学を語っているしね(笑)

そういえば、この映画の麻薬常用者はみんな割と淡々としてて、乱れたところがないんですよね。ボブが足を洗った後に襲撃に来るデヴィットが唯一ちょっとヤバい感じがするくらいで。でも、彼はお子ちゃまだからなって感じがするし。葉っぱとかじゃなくて結構キツめの化学合成系のを使ってても、あんなに大丈夫でいられるものなんでしょうか?ちょっと不思議。白眉はトム神父ですね。何十年来の麻薬常用者で神父って!(笑) 名探偵で麻薬中毒よりかっこいいかも。

一応、ドラッグはダメなんだよって話の流れになってはいるようですが、こういう部分からすると監督はドラッグに否定的ではないんじゃないかなという気がしますね。私は麻薬全般を否定はしませんが、体を蝕む薬物系は自分だけではなく他人にも害を及ぼす危険なものだと思うので、基本的には反対でして、そういう意味ではこの作品の薬物常用者の描き方はちょっと甘いと思います。しかし、映画的には否定も肯定もしないというスタンスであるべきだから、まぁ仕方ないかなとも思いますが。

映像は思ったより古い感じで、ヤク中の幻覚的なアニメーションの映像とか、そこからのつなげ方とか、どうも余りイケてません。まぁ、それは私が何となくもっとスタイリッシュな感じを期待してたせいで、そう思うだけなのかもしれないですが。

ちなみに、お目当ての若きヘザー・グラハムは期待したほどではなかったです。 今よりファニーフェイスな感じで、スタイルもいいのはいいんだけど何となく微妙な感じ。 全体的に若過ぎて、まだ出来上がってない感じというか。そこそこの歳なのにベビーフェイスでセクシーっていう後年の方がずっといいですね。

( 9月末鑑賞分 )