『きのこの絵本』 渡辺 隆次

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きのこの絵本 渡辺 隆次 (ちくま文庫) ¥924  評価…★★★★★ <内容紹介> 静かなアトリエを求めて八ヶ岳山麓に移り住んだ一人の絵描きは、いつしか四季折々のきのこのとりこになってしまっていた。華奢で美しい色のウラムラサキ、恐しい毒で人を地獄に落とすドクササコ、名前がかわいそうなバカマツタケ…。42種のきのこをめぐるエッセイと美しいスケッチ。絵描きならではのまなざしが、きのこの新たな魅力をひきだし、山歩きをしたくなる1冊。カラー多数。 (文庫裏表紙紹介文)
何だか知らないんですけど好きなんですよ、きのこが。いや、正確にはきのこ本が好きなんですね。もちろん、きのこを食べることも見ることも好きですが、きのこについて書かれた本を読むのには及びません。 きのこ本との初めての出会いは、学校の図書室で見つけたきのこの図鑑だったと思います。シイタケやエノキくらいとしか面識のなかった平地に住む身には、想像もつかないような様々な種類のきのこは全く驚きで、放課後の図書室で時間を忘れて読み耽った記憶があります。(図鑑類は貸し出し不可だった^^;) ただ、文庫しか買わない主義(というか場所的経済的事情から、一応自分にそういう枷をはめているのです…)の私は、なかなかきのこ本を所有する機会に恵まれず、大抵は書店で眺める程度でした。そんな私がこの本に巡り会った時の嬉しさと言ったら! きのこ本は、きのこに相当な愛着を持っている人が書くせいか大抵文章も面白いのですが、この本の場合は文章も絵もほんとに素晴らしい!特にカラーの挿絵は美しく、筆致も欧米の博物誌風で素敵です。きのこの調理法もわかりやすく書いてあって、実に美味しそうで作ってみたくなります。まぁ、ここに紹介されているような珍しいきのこに出会って、調理する機会はまずないとは思いますが^^; そして、本書ではきのこの暗い部分についてもきっちり言及されています。そう、それは毒きのこです。本書で紹介されている最も恐ろしい毒きのこの中毒症状の激烈さたるや、ちょっとここに引用するのが憚られるほどです(T_T) 私はそのくだりを読んで、絶対山できのこを採って食べたりしないし、近親者にもさせまいと固く心に誓ったものでした。もはやホラーな感じの怖さなんですよ(>_<) でも、そういう知られざるきのこの怖さについて書かれている部分も非常に面白いです。 きのこ好き必携の書です。 ※読了時不明。発行年月から推察すると1998年秋か?